フィリピン、小売りの外資規制緩和 中小にも参入機会

フィリピンは、小売事業の外資規制を緩和します。これまで参入障壁となっていた払込資本金の要件が大幅に引き下がります。中小規模の企業も参入しやすくなります。海外から新規投資を呼び込み、新型コロナウイルスの感染拡大で低調となった経済の回復につなげます。

21日にも「改正小売り自由化法」が発効する見通しです。ドゥテルテ大統領が署名し6日に公布された同法では、外資の小売事業者に求められる払込資本金を、従来の1億2,500万ペソ(約2億8,000万円)から、5分の1となる2,500万ペソ(約5,600万円)に引き下げ、純資産や店舗数、小売り実績などに関する要件も廃止されます。

経済協力開発機構(OECD)がまとめた、外国直接投資(FDI)に対する規制の厳しさを指数化した国・地域別順位でフィリピンは世界で3番目、アジアでは最も高い。同国の小売業界はこれまで複合企業SMインベストメンツなど現地の財閥大手が席巻してきました。衣料品店「ユニクロ」や家具販売の「イケア」などの大規模店はあるが事業資格を保有する外資小売事業者は少ないうえ、特に大企業に限定されていました。

ドミンゲス財務相は同法の発効に先立ち「(外資系の)大企業に有利で、多様な小規模事業者を妨げてきた規制からの変化を歓迎する」とコメントしました。同国の国内総生産(GDP)は個人消費が占める比率が高い。外資の中小規模の小売事業者を誘致し、新型コロナで低迷した経済の活性化を狙います。
“フィリピンに拠点を置く各国の商工会議所は規制緩和を歓迎しています。ただ地元業界団体であるフィリピン小売協会は規制緩和の効果について懐疑的です。「巨大な外資小売企業はいつでも参入できたはずだ」と。官僚主義的な手続きや事業をする上で賄賂を要求されることなどを懸念した結果、参入を断念したとの見方。さらに同国内の小規模小売事業者は外資参入への準備ができておらず、厳しい競争にさらされるとみています。

改正法は規制を緩和する一方、フィリピンで生産された商品を在庫として保有することを促しています。ドミンゲス氏は「地元の小規模製造業を守り、小売事業者が地元産の商品を提供する機会になる」とし、フィリピン人の雇用や収入増につながると説明しています。
これまで外国の小売業の参入障壁になっていた払込資本金が5分の1になったことは大きいです。フィリピン地元の業界団体が指摘している、官僚主義的な手続きの煩雑さを賄賂によって緩くする慣習がなくなり、手続きそのものがシンプルでわかりやすいものになることを期待します。そうなっていくことでフィリピンはもっと経済発展しやすくなっていくでしょう。

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この記事の監修

家村均
家村均

一般社団法人 フィリピン・アセットコンサルティング
エグゼクティブ・ディレクター
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慶応義塾大学経済学部卒業後、東急に入社し、海外事業部にて、米国・豪州・ニュージーランド・東南アジアなどで不動産開発や事業再構築業務に従事。
また、経営企画部門にて東急グループの流通・メデイア部門の子会社・関連会社の経営・財務管理を実施した。(約15年)
その後は、コンサルティングファーム(アクセンチュア)や投資ファンド(三菱UFJキャピタル)などで、企業や自治体の事業再構築、事業民営化等の支援や国内外のM&A案件のアドバイザリーを実施し、2018年10月より、GSRにて、日本他の投資家および企業、ファンドなどに対してフィリピン不動産への投資や事業進出のアドバイザリーを行っている。

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