フィリピン経済を支える主要セクターの一つである海外フィリピン人労働者(OFW)からの送金額は今どうなっているか?【最新情報】

海外フィリピン人労働者(OFW)が送金した金額は、2023年8月に前年比2.7%増加し、フィリピン中央銀行(BSP)のデータによれば、5月以来の最も高いペースで増加しました。
銀行を通じて送金された現金送金は、2022年の同じ月の27億2,000万ドルから2023年8月に27億9,000万ドルに2.7%増加しました。これは、5月の2.8%以来の高い伸びでしたが、コロナ中との比較となる2022年8月の4.3%よりは低いペースです。
ただし、2023年8月の現金送金は、5月の27億4,900万ドル以来の最低額でした。月対比では、7月の29億9,000万ドルから6.5%減少しました。
2023年の最初の8か月間における現金送金は、前年比2.8%増の215億8,000万ドルに増加しました。
OFWの送金は、ペソ買い取引であり、ペソ安定に大きく貢献すると共に、一度換算されれば国内の購買力の推進要因となるため、フィリピン経済の成長、安定にとって非常に重要な取引です。
今年8か月間の現金送金の大部分の177億1,000万ドルが陸上労働者からのもので、前年比3.1%増加しました。海上労働者からの送金は、1.9%増の44億1,000万ドルでした。
BSPによれば、アメリカがこの期間における現金送金の最大の源で、41.6%を占めています。それに続くのはシンガポール(6.9%)、サウジアラビア(5.9%)、日本(4.9%)、イギリス(4.9%)、アラブ首長国連邦(4.1%)、カナダ(3.5%)、カタール(2.8%)、台湾(2.7%)、韓国(2.6%)です。
OFWは有利なペソドル為替レートを活用し、より多くのお金を送金していると指摘されています。
また、これにより、OFWとその家族/扶養者が高インフレと高ローン金利の支払いに対処する助けとなっています。
BSPは今年のインフレ率を平均5.8%と予想し、国内総生産(GDP)成長率を6〜7%を目標としています。
通常、クリスマス休暇前の第4四半期に送金が加速し、これはペソ-ドル為替レートをサポートする可能性があります。
ただし、国際的な経済の減速や長期にわたるイスラエル・ハマス紛争が送金に影響を与える可能性があることにも言及されています。
ちなみに、OFWのイスラエルからの送金は8ヶ月間で7,440万ドル、送金総額の0.3%程度です。2022年のイスラエルからの送金総額は1億1,060万ドルでした。

国際物流大手のDHLは、フィリピンでの拡張に8,000万ユーロ(約48億フィリピンペソ)を投資し、今後5年で東南アジア全体に3億5,000万ユーロを投じる計画です。フィリピンには、2つの新施設を建設する予定で、そのうち約5万平方メートルのSta. Rosa施設は、同社のフィリピンでの歴史上最大の投資となります。
これは在庫保管のための施設で、2025年にはさらに約2万平方メートルの施設をマニラ首都圏内に建設予定です。
DHLの投資は2024年に約1,000人の雇用を生み出す見込みであり、主に倉庫と輸送関連施設です。
DHLはフィリピンに20か所の施設を持ち、総面積は28万平方メートルです。全ての施設は環境を重視したカーボンニュートラルを実現するように設計されます。
具体的には、雨水の収集、太陽光発電パネル、電気自動車の充電ステーションが含まれます。
DHLはフィリピンの強力な小売市場に成長の機会を見出し、倉庫と輸送能力の投資を通じてこのセクターの成長をサポートすることを計画しています。
また、フィリピンの大手財閥で、Gokongwei氏率いるJG Summit Holdingsと提携し、DHL Summit Solutions, Inc.(DSSI)という合弁会社を設立しています。
DHLは輸送ネットワークのカバーエリアを拡大するため、物流車両を2,000台以上に増やすことを目指しています。
さらに、DHLは東南アジア全体での倉庫スペースを1,600,000平方メートルから5年以内に2,000,000平方メートルに25%拡大する計画です。
DHLはマレーシアに1億3,100万ユーロを投資し、ペナンに2つの新施設を含む4つの新しい施設を追加します。
シンガポールには1億400万ユーロを投資し、2つの新施設を追加する予定で、インドネシアには3,500万ユーロを割り当て、72の施設を持つ同国での拡大を計画しています。
DHLの世界拠点の10%が東南アジアに位置しています。

今週は、フィリピン経済の10%程度を支えるOFWからの送金の最新情報と同じくフィリピンGDPの70%程度を占める個人消費を支える物流機能の拡大について、グローバル物流企業DHLの動向を通してみてきました。

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この記事の監修

家村均
家村均

一般社団法人 フィリピン・アセットコンサルティング
エグゼクティブ・ディレクター
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慶応義塾大学経済学部卒業後、東急に入社し、海外事業部にて、米国・豪州・ニュージーランド・東南アジアなどで不動産開発や事業再構築業務に従事。
また、経営企画部門にて東急グループの流通・メデイア部門の子会社・関連会社の経営・財務管理を実施した。(約15年)
その後は、コンサルティングファーム(アクセンチュア)や投資ファンド(三菱UFJキャピタル)などで、企業や自治体の事業再構築、事業民営化等の支援や国内外のM&A案件のアドバイザリーを実施し、2018年10月より、GSRにて、日本他の投資家および企業、ファンドなどに対してフィリピン不動産への投資や事業進出のアドバイザリーを行っている。

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