ウィークリー・フィリピンレポート記事 20240222

 

フィリピンのソブリンウェルスファンド・マハリカ投資公社によると、同国のエネルギー部門が初期投資の大部分を占めることになるとのことです。

同ファンドは、安定したエネルギー供給システムが、多世代にわたる成長の鍵であるとしています。

マルコス大統領は、マハリカ投資基金を、戦略的投資を通じて経済開発を推進するエンジンと位置付けています。外国からの借入依存を削減する手段としての位置付けもあります。

高い電力コストとアクセスの不足を解決するために、エネルギー部門への投資が必要とされています。昨年の電力の利用可能性とピーク時の電力数値を見ても、フィリピンでは、ほとんど余剰電力がない状況となっています。

マハリカ投資公社の優先投資分野は、電力の他、農林業、製造業、都市開発、鉱物加工、観光、交通、航空です。

電力分野では、再生可能エネルギーを中心とする供給源の多様化と価格の安定化、送電網の近代化を目指します。

先月、大統領府は、フィリピンの電力送電網のほぼ唯一の独占事業者であるフィリピン国家電力送電会社(NGCP)への投資を検討していると述べました。

マハリカファンドは、1250億ペソの初期資本と5000億ペソの追加承認資本を持っています。

 

マルコス政権は、ビルド・ベター・モア・インフラキャンペーン(BBM)を後押しするために、パイプラインに117件のPPPプロジェクトを持ち、その価値は2.42兆ペソに上ります。

内訳は、55件が空港、鉄道、港湾ターミナルなどの交通インフラで、21件が都市開発に関連し、14件が道路プロジェクトに割り当てられています。

フィリピン政府機関でPPPプロジェクトを管轄するPPPセンターによれば、交通インフラに多くのプロジェクトを抱えているのは、この分野でのフィリピンの遅れを取り戻そうとしているからとのことです。

また、廃棄物管理、健康、水、情報通信技術など、他の優先分野でも徐々にパイプラインを構築しているとのことです。

議会は2024年、マルコス政権のBBM政策に1.5兆ペソを割り当て、その大部分が港湾、空港、大量輸送プロジェクトに充てられます。

マルコス政権は、GDPの5~6%をインフラに投資することを目指しています。

政府は8.78兆ペソ相当の198件の主要インフラプロジェクトを承認しています。

これには、メトロマニラ地下鉄、南北通勤鉄道、サンラモンニューポート、ケソン市のフィリピン大学総合病院、カガヤンバレー医療センターの血液透析センター、EDSAバスウェイプロジェクトなどが含まれます。

過去数か月間で、多くの民間からの非公募提案があり、これらも2024年に承認される可能性があります。この中には、プエルトプリンセサ国際空港の改修+運営、メトロマニラの長期的な水源開発プロジェクトなどが含まれます。

また、PPPセンターは、来年13件のプロジェクトを承認することを目指しており、その中には新セブ国際コンテナ港、サンマテオ鉄道プロジェクト、ラグナレイク道路ネットワークが含まれます。

マルコス大統領は昨年12月に、国および地方レベルのすべてのPPPプロジェクトに統一された法的枠組みを作成することを目指す法律に署名しました。この法律はまた、非公募提案の枠組みを強化しています。

 

国家経済開発計画庁(NEDA)、PPPセンター、および他関連政府機関が、この法律の執行規則を策定しています。

 

フィリピンの統計局によれば、昨年、フィリピンの経済成長がアジアで最も高い国の1つだったことから、フィリピンでの承認された外国投資のコミットメントはほぼ4倍に増加し、8890.07億ペソ(159億ドル)に達しました。これは1年前の3.7倍で、1996年以来の最高額です。

2023年第四四半期の投資コミットメントは、前年比2.3倍の3944.5億ペソに上昇しました。

昨年、承認された外国投資のトップはドイツで、3939.9億ペソで、前年同月比で5400倍に増加しました。ドイツからの投資は総額の44.3%を占めています。

フィリピン統計局は、政府の7つの投資振興機関からの投資額を集計していますが、これは経常収支の計算のために中央銀行(BSP)が集計している実際の外国直接投資(FDI)とは異なります。

外国人投資の最大部分は、7676.3億ペソ、全体の86.3%を占めるBoI(Board of Investment)が承認しました。次に、1121.3億ペソでフィリピン経済特区(PEZA)が続き、その後にスービック湾経済特区が7.17億ペソ、クラーク開発公社が1.55億ペソ、BoI-ムスリムミンダナオ自治地域が3.59億ペソ、バターンフリーポートエリア庁(AFAB)が7450万ペソと続きます。

一方、フィリピン国内からの投資コミットは、前年比38.7%減少し、比率は全体の32.6%となりました。

これらのプロジェクトが実現すれば、28,529の雇用が生み出されると予想されています。

 

今週は、世界でもトップクラスの堅調な経済成長を続けるフィリピンにおいて、その成長をさらに加速することが期待されているソブリンウェルスファンドやPPPそしてFDIの最新動向をレポートしました。

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