重要経済指標から読み取る2024年フィリピン経済の行方


フィリピンのソブリンウェルスファンド・Maharlika Investment Fund(MIF)は、インフラ、エネルギー、物流・輸送などの主要なセクターへの投資を検討しています。MIFのCEOであるRafael Jose D. Consing Jr.氏は、電力、農林業、工業、都市化、鉱物加工、観光、輸送、航空などのセクターに投資する可能性があると述べました。MICは、最適なリターンを生む案件に投資する責任があります。MIFは、共和国法第11954号に基づいて設立され、国の成長を促進するセクターへの投資を拡大するための資金を動員する責任があります。MIFの取締役会は、1250億ペソの資本化計画を承認しました。法に基づいて、国営銀行のLand Bank of the Philippines(LANDBANK)およびDevelopment Bank of the Philippines(DBP)は、基金の初期資本へそれぞれ500億ペソと250億ペソを拠出することになります。フィリピン政府も5000億ペソの資本金を拠出する予定です。マルコス大統領は、昨年7月にMaharlika基金法に署名し、同ファンドは2023年末までに稼働すると発表していました。MIFの次回取締役会は1月の第4週に予定されています。


フィリピンの11月の失業率は前月の4.2%から3.6%に低下し、雇用市場は好調な傾向を維持しています。新規雇用は月間で184万人増加し、雇用者総数は4964万人に達しました。労働参加率は65.9%で、労働人口は5147万人となりました。サービスセクターが雇用者の59.5%を占め、製造業と卸売小売業は大幅に減少しました。フルタイム賃金労働者は雇用者の61.5%を占め、その大部分は私企業に雇用されています。新しい雇用者が増加している中、失業率は18年ぶりの低水準に低下しました。ただし、これらの新しい仕事の一部は季節的なものであり、クリスマス休暇シーズンには短期の仕事が通常発生します。それを鑑みても、記録的な失業率の低さは、経済の強さを反映しているだけでなく、GDPの70%程度を占める人々の消費活動にも好影響を与えています。堅調な雇用市場は経済成長の要であり、失業率の低下はこれに大きく寄与しています。国が低い失業率を維持できる能力は、その経済の強さと活力を示しています。この好調な雇用の傾向は、政府のGDP成長目標が6.5%から7.5%の範囲にある中で、重要な指標となります。


フィリピンの投資促進機関である投資委員会(BoI)は、2024年に最大1.5兆ペソの投資を承認することを目指しています。商務大臣アルフレド・E・パスカル氏は、BoIの公式な目標は1.1兆ペソの投資コミットメントだが、内部目標は、1.3兆ペソから1.5兆ペソで、2023年に達成した数字を上回ることとしています。2023年にBoIは1.26兆ペソの投資を承認し、2022年の7290億ペソから73%増加しました。BoIは再生可能エネルギー、通信インフラ、銅・金他の貴金属の輸出など311のプロジェクトに対する投資承認を行いました。これらのプロジェクトが完全に稼働すると、49,030の雇用を創出する見込みです。セクター別では、再生可能エネルギー(RE)および電力セクターが主な投資対象となり、2022年の4090億ペソから141%増の9871億ペソとなりました。フィリピン政府が2022年11月からこの分野での外国人による完全な所有権を認めたことで、REプロジェクトへの投資が急増しました。100%外国人所有企業でも、太陽光、風力、バイオマス、海洋または潮流エネルギーなどの探査、開発、運営することができるようになりました。以前はネガティブリストにより、外国人所有は40%に制限されていました。その他投資を呼び込んだセクターとしては、情報通信(9604億ペソ)、マイニング・鉱業(7919億ペソ)、製造業(2205億ペソ)、インフラ(2147億ペソ)でした。外国企業への投資承認額は7669億ペソで全体の61%を占め、フィリピン企業の投資は4932億ペソで39%でした。以前は海外からの投資は20%程度に止まっていましたので、フィリピンが外国の投資家にとって魅力的になってきていることが伺えます。昨年は、ドイツが風力エネルギープロジェクトに大きな投資していたため、海外からの投資の最大の源となりました。その他は、オランダ(3336億ペソ)、シンガポール(2145億ペソ)、アメリカ(355億ペソ)、英領バージン諸島(213億ペソ)でした。BoIは、日本、韓国、アメリカ、中国からの投資が増えることを期待しているとしています。


今回は、2024年のフィリピン経済の見通しを予想する上で、重要な投資や雇用の指標やデータをみてまいりました。

この記事の監修

家村均
家村均

一般社団法人 フィリピン・アセットコンサルティング
エグゼクティブ・ディレクター
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慶応義塾大学経済学部卒業後、東急に入社し、海外事業部にて、米国・豪州・ニュージーランド・東南アジアなどで不動産開発や事業再構築業務に従事。
また、経営企画部門にて東急グループの流通・メデイア部門の子会社・関連会社の経営・財務管理を実施した。(約15年)
その後は、コンサルティングファーム(アクセンチュア)や投資ファンド(三菱UFJキャピタル)などで、企業や自治体の事業再構築、事業民営化等の支援や国内外のM&A案件のアドバイザリーを実施し、2018年10月より、GSRにて、日本他の投資家および企業、ファンドなどに対してフィリピン不動産への投資や事業進出のアドバイザリーを行っている。

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