フィリピン中央銀行総裁交代で何が変わるか?

フィリピンのマルコス大統領は、M・レモロナ氏を次期中央銀行総裁に任命することを6月23日に発表しました。
レモロナ氏は、7人の金融政策立案を行う金融審議会のメンバーの一員で、M・メダージャ現総裁の後任として、7月から就任します。
マルコス大統領府は声明で、「レモロナ氏は、中央銀行業務、経済政策、国際金融、金融市場における豊富な経験と卓越した業績を持っており、新たな役職において豊富な専門知識をもたらす」と述べています。
レモロナ氏は、ニューヨーク連邦準備銀行(FRB)に14年と国際決済銀行(Bank for International Settlements:BIS)のスイスおよび香港オフィスで19年の業務キャリアのある国際金融のプロです。
現総裁のメダージャ氏がフィリピン大学(UP)経済学部の教授出身のアカデミアだったのに対して、新総裁は、国際金融の実務畑出身ということで、激動する国際金融マーケットでの舵取りが期待されています。
レモロナ氏は、メダージャ氏が中央銀行総裁に就任した後、2022年8月に金融政策決定審議会に加わりました。

フィリピンの新しい中央銀行総裁であるエリ・レモロナ氏の任命は、金融アナリストたちから好意的に受け取られています。
彼の豊富な経験と市場への理解力を考慮すると、彼が新たな役割に適しているとみられています。
また、彼は高いインフレ率への対処と経済成長の保護に焦点を当てるべきだとの意見があります。

レモロナ氏の任期は2023年7月3日から始まります。現職のメダージャ氏は2023年7月2日に退任する予定です。
新総裁後は、成長と利下げのバランスを取る必要がありますが、同時に外部のリスクにも注意を払う必要があります。
フィリピン経済は2023年第1四半期に6.4%の成長を達成しましたが、これは2年ぶりの低成長です。しかし、まだフィリピン政府の6〜7%の目標範囲内に収まっています。

一方、インフレ率は5月に4か月連続で緩和し、4月の6.6%から6.1%に減少しましたが、依然として中央銀行の2〜4%のインフレターゲットを上回っています。
アナリストたちは、レモロナ氏がメダージャ氏のようにインフレに対する取り組みを継続することを期待しています。

レモロナ氏の任命に対しては、銀行業界からも歓迎の声が上がっています。彼の豊富な経験と専門知識が評価されています。
一方で、新総裁は、インフレの抑制と外国為替の安定を実現するために政策を調整する必要があるとの声もあります。BSPが利上げを年末までストップする余地がある一方で、ペソの過度な下落を防ぐために、米国との金利差を維持することが重要との見方もあります。

また、レモロナ氏は慎重に規制と市場のイノベーションのバランスを取る必要があるとされています。IT技術の急速な発展は、多くの機会をもたらす一方で、さまざまなリスクももたらします。そのため、BSPの規制機能は非常に重要です。レモロナ氏が市場との対話をどのように行うかも重要で、明確かつ率直なアプローチが求められています。

現総裁のメダージャ氏は、2022年5月から今年3月まで基準金利を425ベーシスポイント引き上げました。しかし、インフレが緩和すると、政策の引き締めは一時停止しました。
フィリピンの財務長官のディオクノ氏は、レモロナ氏がBSPの積極的な利上げ政策を解除できると強く信じているとのコメントを出しています。

レモロナ氏は、フィリピンの中央銀行法の施行以来、7人目のBSP総裁となります。彼は2022年8月から金融政策審議会メンバーに任命されています。

新たなBSP総裁の任命については、フィリピン銀行家協会(BAP)も歓迎しています。BAPの会長で、フィリピンのトップバンクの一つであるBPIの最高経営責任者でもあるリムカオコ氏は、「BAPは、金融市場の発展、サイバーセキュリティ、持続可能性など、銀行業界および関係者に影響を与えるさまざまなイニシアチブにおいて、新しい総裁レモロナ氏と協力することを楽しみにしています」との声明を発表しています。

世界的に高インフレがなかなか沈静化しない中、FRB、ECB、日銀など世界の中央銀行が、それぞれ経済状況、株式市場、為替水準などを睨んで、金融政策を実施しています。
そんな中、フィリピン中央銀行総裁が交代するということで、今回は、フィリピン中央銀行の新総裁の経歴や予想される金融政策などについて書いてみました。

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