今回は長期の株価上昇が期待されるセクターや企業を見ていきたいと思います。
最初は日系コンビニのセブンイレブン・Philippine Seven Corporation(SEVN)です。過去20年間で株価は83倍に跳ね上がりました。
コロナの最中でも営業を継続し、コンビニエンスストアは今やフィリピンでも社会インフラとなっています。現在の店舗数は、まだ3,000程度なので、日本の21000店舗超と比べると、7分の1程度で少ないです。
商品の品揃えは、日本とはもちろん違いますが、地元の人のニーズに合わせた品揃えで、私もマニラではよく活用していますが、どこも大変繁盛しています。今後も出店余地は大いにありますので、伸びが期待できるのではないでしょうか。
次にご紹介するのが、International Container Service(ICT)です。同社は過去20年間に株価が33倍になりました。
同社は実は世界最大の港湾運営会社のひとつなのです。この会社のオーナーはEnrique Razon氏で、フィリピンで3番目に裕福な人物です。時価総額はすでに3,900億ペソに達していて、フィリピンで最も大きな企業の1つになっています。アジア、ヨーロッパ、アフリカ、そしてアメリカと世界中で事業展開していて、さらに事業拡大しています。
コロナでグローバルサプライチェーンが大きな打撃を受け、トヨタが40%減産するなどショッキングなニュースが出てきましたが、同社も影響を受けていますが、現在急回復をしています。COVID-19の後、つまりサプライチェーンが通常な状態に戻流に連れて、株価はまだ大きく上昇する余地があります。また、同社はすでにフィリピンの中では、最大規模の会社ですが、中国やシンガポールの港湾会社と比較すると、時価総額(換算すると約780億ドル)は比較的小さいので株価的にも伸びしろがあるのではないでしょうか。
次にUniversal Robina Corporation(URC)です。
この会社の時価総額は3,000億ペソ以上で、フィリピンでは誰もが知るナショナルブランドを多く持つ菓子・飲料メーカーです。同社の株価も過去20年間で26倍になりました。日本のカルビーと提携して、フィリピンでカルビー製品を販売しています。人口が1億人を超える国で、商品が国民的なブランドにまでなると強いことが良くわかります。あのウォーレン・バフェット氏も、コカコーラ、ハインツなどのブランドを確立した食品メーカーへの数十年にわたる投資を一つの戦略にしています。
Pryce Corporation(PPC)を見ていきます。LPG(液化石油ガス)・プロパンガスのディストリビューターです。株価は過去10年で19倍になりました。一見地味に見えるビジネスですが、実際に急成長してきた会社です。フィリピンでは、電気代のこともあり、ほとんどの家庭あるいは飲食店でLPGが使われています。
シェブロン、シェル、ペトロン、カルテックスなどの石油会社が競合ですが、LPG専業で行っている会社は少なく、利益率の高いビジネスを展開しています。
JG Summit Holdings, Inc.(JGS)です。フィリピン10大財閥の一角をしめる大企業です。
ゴコンウェイ・ファミリーがオーナーで、前述した菓子メーカーURC、大手不動産ディベロッパー・ロビンソンズ・ランド、百貨店・スーパーなど小売のロビンソン・リテール、航空会社セブ・パシフィックなどがグループ会社です。
過去20年間で株価を約20倍に上昇させました。
同社は、アヤラやSMと並ぶ財閥企業で、すでに大きなサイズのビジネスを展開しているわけですが、今後も過去20年間のような大きな成長・株価上昇が期待できるのかという点が気になりますが、同社のビジネスのほとんどがフィリピン一般の人々の生活に密着したところにあります。つまり、日本でいえば1970年代初頭のステージにいるフィリピン経済は、これから経済が高度成長していくわけですから、フィリピン人の所得、生活水準もどんどん上がっていく中で、そこに関わる事業を展開する会社は、その波に乗って成長していくというシナリオを描くことができると思います。
2週にわたって、過去20年、30年で数十倍に大きく株価を伸ばした会社を見ながら、今後の成長ストーリーを考えてきましたが、高齢化社会で経済が成熟し、成長が限定的な日本とはかなり違った景色が見えてくることがわかります。日本では成熟産業・セクターだが、フィリピンでは成長産業というものもたくさんあります。
我々日本人も外に目を向けることにより、全く違った景色が見え、高度成長を取り込むことができるわけですね。これがまさにタイムスリップ投資の醍醐味です。
今後も長期的な経済成長を遂げるであろうフィリピンですが、その中でもどこがスイートスポットなのかという観点で今後も記事を書いて行きたいと思いますので、ご期待ください。
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