フィリピン中央銀行(BSP)のメダラ総裁は、インフレを抑えるためのさらなる金融引き締めは、金融の安定を脅かすものではないと述べています。
金融の安定性を危険にさらすことなく、425ベーシスポイント、おそらくそれ以上の引き締めを行うことができると確信していると述べ、フィリピンの銀行のファンダメンタルズは強いと付け加えました。
また、今後の金融政策決定は、最新情報の評価に基づいて行われることも付け加えました。
中央銀行の金融政策決定委員会は先般、ベンチマーク政策金利を25bps引き上げ、6.25%に引き上げました。これは、2007年5月の7.5%以来、ほぼ16年ぶりの高水準です。
中央銀行は、ペソの下落と持続的なインフレ圧力に対処しなければならないとしています。
インフレは依然として最大の懸念事項であり、実際、政策金利の観点からは唯一の懸念事項と捉えられています。
2月の総合インフレ率は、14年ぶりの高値であった1月の8.7%から8.6%に若干は減速したものの、まだ高い数値です。
メダラ氏は、今年の10月までに目標の2~4%に達するまで下降傾向が続くと確信しているとしています。
中央銀行は、今年のインフレ率を6%と見ています。そして、2024年に2.9%にまで緩和するとしています。
統計局は、4月5日に3月のインフレデータを発表します。
メダラ氏はまた、最近の国際金融市場の混乱の中で、フィリピンの銀行は十分な資本を備えていると繰り返しています。
銀行システムはパンデミックの逆境に耐え、今後も回復力を維持していくであろうとしています。
また、フィリピン銀行協会(BAP)は、経済成長を維持するための国家的な取り組みにおいて、その役割を果たしてきたとも述べました。
債務資本の配分を強化し、金融サービスのコスト効率を改善し、銀行が家計や企業の高まる需要に対応することで、経済はより効率的になり、銀行システムはより安定するとしています。
フィリピン銀行協会は、2023年・2024年の新会長として、アヤラグループBPI銀行のホセ・テオドロ・K・リムカオコ氏を会長に選出しました。
中央銀行が、金融や経済に対して強気の見方を示す中、格付け機関・S&Pグローバルレーティングは、インフレ率の上昇と借入コストの上昇が成長を鈍化させる可能性があるものの、内需の勢いは予想より長く続いており、フィリピン経済は2023年5.8%拡大する可能性が高いと発表しました。
これは、11月に同社が発表した5.2%の予測を上方修正したものです。
なお、フィリピン政府の目標は、6~7%のGDP成長です。
フィリピン経済は2022年に7.6%成長し、政府の2022年の成長目標6.5〜7.5%を上回りました。そして、1976年以来最大の経済成長を達成しました。
一方で、2023年後半、そして2024年にも、多くの要因が成長を圧迫する可能性があることも指摘しています。
パンデミックからのリベンジ消費は、インフレが可処分所得を圧迫する中、今年後半にいくらから勢いを失う可能性があります。
インフレ率は、前述したように、1月が8.7%、2月が8.6%と高水準です。
中央銀行の積極的な引き締めは、その思惑とは異なり、今年の経済に悪影響を与える可能性があります。
また、先進国のGDP成長率の低迷は、外需にも影響を与える可能性があります。
S&Pは、フィリピンの今年のインフレ率は平均6.2%、2024年には3.2%になると予想しています。
一方、中央銀行は、2023年6%、2024年2.9%のインフレ予測です。
食料と燃料の価格変動を除いたコアインフレ率は、1月の7.4%から2月には7.8%に上昇し、2000年12月の8.2%以来の高数値を記録しました。
S&Pは、政策金利は6.5%まで上昇し、インフレの持続的な低下傾向が観察されるまで、今年いっぱい維持されると予想しています。
次回の中央銀行政策決定会合は、5月18日に予定されています。
今回は、世界的な金融不安が広がる中、フィリピンの金融セクターはどうなのか、そして、2022年に次いで、2023年もフィリピン経済が高成長を維持できるか、といった内容を中央銀行や格付け会社S&Pがどう見ているのかレポートしました。
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