フィリピンは、グリーンテクノロジーへの移行と、データセンター需要の取り込み、マイニングセクターへの投資の誘致に積極的に動き出しました。
新たな鉱山開発の禁止が終了したことで、鉱石を単に輸出するのではなく、加工・精製し付加価値をつけるための投資を誘因できるようになりました。
フィリピン投資庁(BoI:Board of Investment)は、2022年、国内外から約1兆ペソ(200億ドル)の投資を誘致することを目指しており、これは2021年から50%増加になります。
フィリピンは、よりデジタル化されたより環境に優しい世界に移行する際に、必要となる重要な鉱物(ニッケル、銅、コバルト)に恵まれています。
これから重要なことは、これら鉱物資源を、フィリピン国内で精製・付加価値をつけた上で、輸出することです。
フィリピンは、ニッケルの世界第2位の生産国です。ニッケルは、データセンターや電気自動車に電力を供給するために使用されるバッテリーなど、さまざまな電子部品に利用される世界的に需要が急増している鉱物です。
マイニングセクターの活性化と巨大バッテリーを使用するハイパースケーラー・データセンターの誘致はシナジーがあります。
こうした中、政府は最近、太陽光、風力、波の再生可能エネルギープロジェクトに対する40%の外国資本制限を撤廃するオーダーを出しました。
公共事業道路省(DPWH)次期大臣となるサンミゲル・トールウェイズ社社長兼最高経営責任者マヌエル・M・ボノアン氏によると、今後のマルコス政権は、影響力の大きいプロジェクトに焦点を当てた官民パートナーシップ(PPP)を通じて、インフラストラクチャ開発へ国内外の投資家を誘致することを強化します。
退任するドゥテルテ大統領は、国の補助金や債務保証などの条項があったため、アキノ政権が好んだPPPを避けていました。
コロナによる財政出動で、政府資金がタイトになっている中、関係各省庁と調整しながら、ビルド、ビルド、ビルドプログラムを継続する方針を示しました。
マルコス新大統領の重点分野は、食糧生産と観光、そして交通渋滞への対処。つまり商品やサービスのコストに大きく影響するロジスティックスの改善・交通インフラのさらなる整備です。
同時に、新大臣は汚職に対処し、プロジェクトの質を確保し、国のリソースを慎重に使用することを強調しました。
ボノアン氏は、マルコス大統領から、経済回復を加速するために、未完成のインフラプロジェクトをできるだけ早く完了するよう指示があったと述べています。
現政権では、119の旗艦インフラプロジェクトのうち12を完了しました。そのうち7つは、2020年に完了し、これには180億ペソのニュークラークシティ開発フェーズ1と149.7億ペソのクラーク国際空港拡張プロジェクトが含まれ、2021年には219.7億ペソのMRT3リハビリプロジェクトほか5つのプロジェクトが完了しました。
同省は、6月30日までにさらに7つの大きなプロジェクトが完了し、12月までにさらに12のプロジェクトが完了すると見込んでいます。これには、452.9億ペソの南東メトロマニラ高速道路プロジェクトと750億ペソのサンミゲル社が主導するMRT-7が含まれます。
サンミゲル社は、MRT-7プロジェクトの列車基地として機能するブラカン州サンホセデルモンテの20ヘクタールの不動産の開発をすでに開始していると発表しました。
情報通信技術局(DICT)の責任者としてマルコス氏に指名されたIvan John E. Uyは、新政権において、デジタル化とネット接続性の向上が最優先課題だと述べました。
現在検討しているソリューションの1つは、Elon Musk氏のStarlinkプロジェクトです。これにより、高価な光ファイバーケーブルを敷設することなく、高速ネット接続が可能になります。
Uy氏は、2011年から2016年までのフィリピンのデジタル戦略策定を主導しました。また、ベニグノ・アキノ前大統領時には、情報通信技術委員会の委員長を務めた人物です。
新貿易産業(DTI)大臣アルフレドE.パスクアル氏は、経済の デジタル変革を促進することに焦点を当てると述べ、外国直接投資(FDI)をテクノロジー産業、特にデータセンターに引き付けることを目指すと述べています。
これには、光ファイバーケーブルの全国への早期展開も含まれます。
また、デジタル化による小売セクターの改革、つまり商品の希望小売価格(SRP)に関する情報を提供することによって、消費者の知識の欠如を利用する小売業者や売り手がいないようにするとも述べています。
Pascual氏は、2019年のコロナウイルスのパンデミックに苦しんでいる中小零細企業(MSME)を対象とした事業再生パッケージについて検討しているとも述べています。
現在の貿易産業大臣ラモン・M・ロペス氏は、5月24日にドゥテルテ大統領によって承認された2022年の戦略的投資優先計画(SIPP)が、コロナで痛んだフィリピン産業の復活を主導すると述べました。
SIPPにおいては、Tier 1は、コロナからの回復に関連する適格な活動、Tier 2は、グリーンエコシステムの促進、信頼できる医療システムの開発、自立した防衛システムの開発、農業の変革など、産業のバリューチェーンのギャップを埋める活動、Tier 3は、経済の変革を後押しし、自動化、スマートマシン、産業用IOT、クラウドコンピューティング、コグニティブコンピューティング、高度なロボット工学、人工知能、3D印刷などのテクノロジーを活用するアクティビティとしています。
ブロードバンドインターネットサービスプロバイダーのConverge ICT Solutions、Inc.(CNVRG)は、税制上の優遇措置の承認を受け、フィリピンの全世帯の55%をカバーするという目標達成を加速します。
FIRB(Fiscal Incentives Review Board)からの税制優遇措置を確保することで、フィリピンの世帯の55%をカバーするために、FTTH(ファイバーツーザホーム)のためのポートを750万から800万全国に配備するという2023年の目標を掲げています。
FIRBは最近、コンバージ他3つの電気通信会社(SkyTowers Infra、Inc.、Frontier Tower Associates Philippines、Inc.、およびTranscend Towers Infrastructure Philippines、Inc.)に対し税制上の優遇措置の申請を承認しました。
コンバージに付与される税制上の優遇措置には、4年間の所得税の免税、5年間の税額控除の強化、および機器と原材料に対する11年間の関税の免税が含まれます。これらは、高速インターネットブロードバンド用の光ファイバーネットワーク構築のためにConvergeに付与され、プロジェクトの総費用は1,506億ペソです。
財務長官兼FIRB委員長のカルロスG.ドミンゲス三世は、「政府はコンバージが遠隔地で、より速く、より安価なインターネットアクセスを実現することを期待している」と述べています。
これはネットへの接続性だけでなく、農村地域の人々により多くの雇用機会を提供することにもなります。
ブロードバンド接続は、国の長期ビジョンである「AmBisyonNatin 2040」(https://2040.neda.gov.ph/)の中でも優先課題の1つです。
同社の2022年第一四半期の純利益は27%増益の19.7億ペソとなっています。
マルコス新政権の経済関連閣僚が続々と決まる中、マルコス政権の経済政策の概要が徐々に見えてきましたので、引き続きウォッチし、お伝えしていきます。
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