フィリピン海外直接投資の現状とPOGOの動向

今回は、フィリピンへの海外からの直接投資(FDI)の現状と、幅広い経済領域に大きな影響をもつオンラインゲーミング会社(POGO)がもたらすインパクトについて解説していきます。
7月のフィリピンへの海外直接投資(FDI)の純流入額は3か月連続で減少し、14か月ぶりの最低水準に落ち込みました。
フィリピン中央銀行Bangko Sentral ng減少して4億6,000万ドルになりました。
これは、2021年5月に記録された4億5,500万ドル以来最低の月間FDI流入でした。前月比でも、FDI純フローは6月の4億7,100万ドルから2.3%減少しました。
構成要素別に見ると、7月の非居住者による地元の関連会社の債券への純投資は、1年前の10億9,300万ドルから80.6%減少して2億1,300万ドルになりました。
7月のFDIデータは、予想される世界的な景気後退に対する懸念を反映していると見られています。
主要な投資国での財務状況の逼迫、金利上昇局面、悲観的なビジネスセンチメント、およびインフレやサプライチェーン問題によるコスト上昇、株式市場の下落など悪材料が山積しているため、外国企業は短期的に投資を控える可能性があります。
BSP は、インフレを抑えるために、7月にベンチマーク金利を75bps引き上げ3.25%にしました。
インフレ率は、6月の6.1%、1年前の3.7%から7月には6.4%に上昇しました。これにより、BSPのインフレ目標2〜4%を4か月連続超えたことになります。
年初から7か月間の累積FDI純流入総額は、2021年の同時期の57億9,500万ドルから12%減少して51億1,000万ドルになりました。
一方マルコス大統領が、米国、インドネシア、シンガポールを訪問した際に、フィリピンへの投資のコミットメントを得てきたため、これから、FDIが増加する可能性があります。
さらには、経済のコロナ後再開が加速してくれば、投資家は拡張プロジェクトに対してより決断力を持つようになる可能性があります。
建設、不動産、製造業などへの資金流入が増加傾向であるため、多くの専門家がフィリピンの中期的な経済見通しに対して、依然として強気の見方を継続しています。
中央銀行は、今年のFDI 純流入額が105億ドルに達すると予測しています。

フィリピンの大手不動産調査・コンサルティング会社Leechiu Property Consultants, Inc.によると、不動産市場の状況は、オフショア ゲーミング オペレーター(POGO)の事業継続が許可されている限り、上昇トレンドを維持するとしています。
また、過去に起こったように、世界的な景気後退が発生した場合、雇用が国内に移行する可能性があるため、商業用不動産の需要は残ると予想しています。
POGOの継続が許可されれば、住宅市場、オフィス市場ともに下支えとなるでしょう。
米国の金利が今後12か月間上昇し続けると予想されますが、この金利上昇は、サプライチェーンの改善によって相殺され、コストを削減できるとしています。
また、建設費の下落、流通コストの下落、食品価格の下落によっても、部分的に相殺されるだろうとしています。
来年後半には、経済が全体的に安定化すると見られ、センチメントが改善され、株式市場が上昇すると見られています。
このタイミングで、外国人がフィリピンの不動産に再び投資を始めるとしています。
2008年の世界金融危機(リーマンショック)の際には、雇用がフィリピンにシフトし、商業用不動産の需要は維持されました。
フィリピンには、インドやベトナムなど他の BPO(ビジネス プロセス アウトソーシング)競合国と比較して、平均年齢の低さ、高い語学力から競争優位性があります。
リモートワークは、来年まで延長されるものの、BPO業界としては、フルタイム従業員(FTE)の雇用促進プロジェクトが進んでおり、オフィスビルの稼働率には上昇傾向が見られます。
フィリITビジネス プロセス協会(IBPAP)が発表している、今後数年間のBPO業界の雇用に関する予測データは、不動産市場にとってポジティブな内容です。
IBPAPは、IT・BPO業界が今後6年間で110万人の雇用を産み、これが、2028年までに、476,000平米のオフィス需要を創出すると見ています。
BPO業界の雇用には、乗数効果というものがあり、1人雇用することにより、間接的に3~4人の雇用を生み出す効果があるとされています。
つまり、6年間で100万人を雇用するということは、実際には300万から400万の 雇用が生まれることを意味します。
住宅市場については、年間100万戸の住宅を建設するという政府の目標は、低コストで手頃な価格の住宅市場を活性化する可能性がある一方、昨今のインフレ・コスト高が進む中、ディベロッパーが開発コストのマネジメントについて自信を持ち始めるまでは、ミドルからアッパーミドルの住宅セクターの動きは来年横ばいになる可能性が高いとしています。
つまり、金利高とロジスティクスの問題により、建設コストが非常に予測しにくい状況となっていますが、来年これが解決できれば、おそらくミドルからアッパーミドルのセグメントも大幅に上昇し始めるだろうとLeeChiuは予測しています。
まとめとして、POGOの存続が不動産市場に大きく影響を与えます。

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