国策に売りなし・マルコス大統領の2024年予算案では、何に重点がおかれるのか?

2024年の国家予算案がマルコス大統領によって議会に提出されました。この予算案は5.768兆ペソで、教育、インフラ、農業、防衛への配分を増加させることを目指しています。2024年の国家予算は今年の予算よりも9.5%増加し、国内総生産(GDP)の21.7%に相当します。
教育セクターが最大の配分を受け取りました。教育セクターには9,247億ペソが割り当てられ、今年の予算よりも3.3%増加しています。これには、高品質な大学教育プログラムの実施に511.2億ペソ、教科書や教材に120.4億ペソ、学校での給食プログラムに117.1億ペソが割り当てられました。
引き続き、インフラ開発も大きな予算割り当てを計画していて、マルコス大統領が提唱する交通インフラ整備計画「Build, Better, More」プログラムに1.42兆ペソが割り当てられ、これは国内総生産の5.3%に相当します。
このプログラムは特に道路網や鉄道システム、特に北南通勤鉄道システムとメトロマニラ地下鉄プロジェクト第1フェーズなどの交通インフラを優先しています。
農業セクターには1,814億ペソが割り当てられ、今年の予算よりも4.5%増加しています。これには米、トウモロコシ他の高付加価値作物の地域生産を促進するプログラムが含まれています。
一方、健康セクターの予算は今年の予算よりも2.7%減少しており、フィリピン保険公社に1015.1億ペソの予算が割り当てられ、社会福祉・発展省に209.9億ペソが割り当てられます。
国防予算は14.16%増加し、2,322億ペソが割り当てられますが、労働・雇用セクターの予算は14%減少し、405億ペソになります。
この予算案に対する批判もあり、社会福祉、労働、健康、住宅の予算が削減されている一方で、インフラ、軍事、警察、債務返済の予算が著しく増加しているとの指摘があります。
この予算案については、8月10日に予算調整委員会が説明会を行い、9月18日に予算に関する議論を開始し、9月末までに予算承認することを目指しています。

フィリピン中央銀行(BSP)によると、住宅価格は、2023年第1四半期に10.2%上昇しました。
BSPのデータによれば、2023年1月から3月の住宅不動産価格指数(RREPI:The Residential Real Estate Price Index)は、前四半期の7.7%増加および2022年同期の5.7%の増加よりも大きな10.2%増加となりました。
この期間の不動産価格の上昇は、新型コロナウイルスパンデミックのピークである2020年第2四半期の26.6%以来の大きさとなりました。
RREPIは、さまざまな住宅タイプや地域の平均価格変動を追跡しており、中央銀行に不動産市場に関する洞察を提供しています。
銀行のリスク管理のために、BSPは不動産市場をウォッチしています。
フィリピンのコリアーズ・インターナショナルによれば、「デュプレックスや一戸建て/タウンハウスなどの水平プロジェクトに強い需要があり、市場はパンデミックから完全に回復しているとし、人々が物件を購入し、投資し始めているとしています。建設資材の高騰も不動産価格を押し上げた要因です。
BSPのデータによれば、1月から3月の間にデュプレックス住宅と一戸建て/タウンハウス住宅の価格がそれぞれ22.1%、17%増加しました。
コンドミニアムの価格は第1四半期で1.2%上昇し、一昨年同期の14.5%の成長から大幅に鈍化しました。
RREPIによれば、首都圏(NCR)の住宅価格は前年同期比で+7.3%に減速し、地方圏(AONCR)では+ 11.4%でした。
また、第一四半期における住宅ローンは、前年同期比で16%増加し、NCRとAONCRのローン別では、それぞれ16.5%と15.7%増加しました。
この期間におけるローンの内訳としては、一戸建て(47.8%)、それに続いてコンドミニアム(32.8%)およびタウンハウス(18.9%)の順番でした。
フィリピンの新築住宅価格の平均価格は、1月から3月の期間で1平方メートル当たり73,724ペソでした。
NCRの平均価格は1平方メートル当たり123,053ペソで、AONCRの平均査定価格は1平方メートル当たり51,459ペソでした。
今年は、企業および消費者の楽観的な見通しにより、住宅市場への需要は引き続き強いとされています。
経済は持続的なペースで成長しており、海外フィリピン人労働者(OFW)からの安定した送金があります。
地元の従業員にとっても良好な企業環境により、給与の増加につながる見通しです。
これらの要因が住宅需要を刺激し、特に地方圏(AONCR)で不動産価格を引き続き上昇させるとみられています。

今回も前回に続いて、投資格言「国策には逆らうな(国策に売りなし)」という観点で、来年度の国の政策が明確に現れる2024年度予算案の内容について、概観してみました。さらに、国の最重要政策と位置付けられる交通インフラ整備計画と密接に関連する最新の不動産価格や市場動向についてもみてまいりました。

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