フィリピン中央銀行・信頼性のあるイールドカーブ実現に向けてアクション

フィリピン中央銀行(BSP)は、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の廃止に伴い、新たなオーバーナイトレート(ON)を基準レートとして設定しました。BSPのフェリペ・メダラ総裁は、2024年1月までに信頼性のあるイールドカーブを実現することを目指していると述べました。
このONレートは、LIBORの終了期限である2023年6月30日までに発効され、さまざまな取引の基準として使用される予定です。

BSPは、市場参加者と信頼性のあるイールドカーブの緊急性について協議しました。メダラ総裁によれば、「マクロ金融上の意思決定はこれらのベンチマークリスク価格に基づいて行われるため、信頼性のあるイールドカーブは全ての当事者にとって最善の利益です。」と述べています。

フィリピンでは、金利スワップ、通貨スワップ、フィリピン銀行間取引金利(PHIREF)もドルLIBORに基づいて計算されています。

この新しい基準レートの導入には、時間と関係者の協力が必要であり、信頼性のあるイールドカーブを2024年1月に実現するという目標が掲げられました。

フィリピン中央銀行は、LIBOR関連のリスクを適切に特定するため、金融機関にLIBOR関連のエクスポージャーを報告するよう要求しています。これにより、LIBORの廃止が銀行の業務に影響を与えないようにすることが目的です。

Rizal Commercial Bankingの首席エコノミストは、中央銀行の新しい措置により、より信頼性のあるイールドカーブが生まれると述べています。また、これはLIBORの廃止に伴い、欠陥を補うのに適切であるとも述べています。

現在のフィリピンの基準金利は6.25%であり、Monetary Boardは昨年5月から2023年3月までに425ベーシスポイント利上げを実施しました。

今回のBSPの措置により、市場における資金の実際の費用に基づくより信頼性のあるベンチマークが作成され、より信頼性のあるイールドカーブがをもたらされることが期待されています。

新しい基準レート導入は、フィリピンの銀行間コールローンレートを形式化することに類似していると言われています。銀行間コールローンレートは、金融機関間で行われる短期融資の利率を指します。

日本でも、新たに植田日銀総裁が就任し、どこかのタイミングで、黒田日銀総裁時代のイールドカーブコントロール政策への修正が行われるのではないかという憶測が出ています。
一般の方には、あまり馴染みがないかもしれませんが、株式市場、不動産市場、そそして経済全般に幅広く影響のある政策ですので、これからも、フィリピン、日本そして世界のイールドカーブは、注視して行きたいと思います。

国際通貨基金(IMF)は、フィリピン政府が経済成長を促進するために、電気通信とエネルギーへの投資を優先すべきだと述べています。
IMFのフィリピン代表は、デジタル経済の推進には電気通信セクターへの投資が必要であり、ブロードバンドのカバレッジ拡大と国内の接続強化に力を入れるべきだと述べました。

また、外資による100%所有権を許可する修正公共事業法の実施が重要である点も指摘しました。

さらには、再生可能エネルギーへの転換投資も重要であり、気候変動の影響を最も受けやすい国の一つであるフィリピンは、外国人投資家の関心を引くために良質なプロジェクトを準備する必要があるとしています。

さらに、IMF代表は、政府は税制を見直し、税収を優先分野への投資に活用することを検討すべきだと提案し、炭素税の導入も潜在的な可能性があるとしています。フィリピン財務省も炭素税の実現可能性を検討しており、パリ協定の下での二酸化炭素排出削減目標を支援するための政策と位置付けています。

ちなみに、IMFは、今年2023年のフィリピン経済の成長率を6%、2024年は5.5〜6%と予想しています。一方フィリピン政府は、今年と来年のGDP(国内総生産)成長率を6〜7%を目標としています。

IMFからの提案に加えて、フィリピンの持続的な成長のためには、主要なインフラプロジェクトへの投資が重要であり、空港、港、地下鉄やその他の鉄道、有料道路、橋などの能力拡充が必須です。
これを後押しする政策が、マルコス大統領のニックネームBBMから命名された”Build Better More”です。この政策は、前ドテルテ大統領のBBB(Build Build Build)政策を引き継いだものです。

今回は、日本でも話題となっているイールドカーブについての、フィリピン中央銀行の施策をチェックするとともに、国際通貨基金(IMF)のフィリピン経済に対する見方・提言からフィリピン経済の現状と未来を確認しました。

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