フィリピン金融政策・利上げとインフラ整備状況

フィリピンでは、インフレ率の上昇により、フィリピン中央銀行(BSP)は今年さらに利上げを検討するようになる可能性があります。
格付け機関・フィッチ・ソリューションズは、フィリピンの2022年インフレ率予測を、5.1%から5.6%に引き上げました。これは、今年のBSPのインフレ予測の5%を上回っています。
6月のインフレ率は前年比6.1%上昇し、過去4年間で最大となり、中央銀行の2〜4%の目標値を3か月連続で上回りました。2022年の6か月平均インフレ率は4.4%です。
インフレ率が未だピークアウトしていないため、フィッチは、BSPが金利をさらに100ベーシスポイント引き上げ、2022年末までに政策金利を4.25%にまで引き上げると予想しています。
フィリピン中央銀行・Bangko Sentral Pilipinas(BSP)は、7月14日に政策金利を、市場の予想を上回る75ベーシスポイント(bps)引き上げ、3.25%にしました。預金金利および貸付金利も75bps上昇し、それぞれ2.75%および3.75%になりました。
高インフレに加えて、米国FRBの積極的な利上げの継続により、金融と通貨の安定を維持するために、BSPには利上げ圧力がかかります。
米連邦準備制度理事会(FRB)は、 6月にインフレ率が9.1%に急上昇した後、7月26〜27日の政策決定会合(FOMC)で、金利を75〜100bps引き上げると予想されています。2022年中には、さらに2回の利上げが見込まれ、年末には、政策金利が4%を超えると予想されています。
フィッチは、フィリピンの国内総生産(GDP)の今年の成長率を6.1%と予測しており、政府の目標である6.5〜7.5%を下回っています。
一方、ムーディーズは、フィリピンの経済成長を7%台前半と予想しています。
フィリピン統計局は、7月のインフレデータを8月5日に、第2四半期のGDPデータを8月9日に発表する予定です。

エネルギー規制委員会(ERC)は、First Nat Gas Power Corp.とManila Electric Co.(Meralco)の間の電力供給契約に最終承認を与えました。
契約の電気容量は約414メガワット(MW)で、エネルギー源は天然ガスです。
First NatGasは、バタンガス州サンタリタにある414MWのサンガブリエル・コンバインドサイクル天然ガス火力発電所を所有・運営しています。
First Gen社は、First Philippine Holdings Corp.の子会社であり、Lopez財閥の発電部門です。主に、天然ガス、地熱エネルギー、水力発電、風力、太陽光発電などのクリーンエネルギー発電会社です。
同社は、3,495 MWの発電容量を有し、フィリピンの総発電量の19%を占めています。

Phinma Corp.の子会社であるPhinma Educationは、パンガシナン大学に7階建ての新しい校舎を建設中で、来年完成する予定です。
パンガシナン大学は、同社グループ最大の学校の1つで、21,000人の学生数を有し、これにちなんで、パンガシナンクラブ21と呼ばれています。
同社で、パンガシナン大学と並ぶ最大規模の大学が、カガヤンデオロ大学です。
カガヤンデオロの学生数の増加にともない、イリガン市のカガヤンデオロ大学に2つ目のキャンパスを建設しました。
Phinma Educationは、ヌエバエシハにあるアラウロ大学サンノゼキャンパスの第2フェーズ、ケソンシティにあるリパブリカン・カレッジの第2フェーズ、ラグナにあるリザル・カレッジの第2フェーズも建設中です。
また、同社は、セブのサウスウェスタン大学フィンマ校での歯科プログラムを強化する一環として、来月または2か月以内に歯科棟を完成させる予定です。
Phinma Educationは、2022年から2023年に、36,000人の新入生と124,000人の在籍学生に到達すると見込んでいます。
Phinma Educationは、ヌエバエシハにあるPhinma Araullo大学を買収することにより、2004年に教育サービスへの投資を開始しました。
フィリピンは、世界でも有数の人口ボーナスを有する国であり、莫大な大学への需要が存在しています。

マルコス大統領は7月1日、首都マニラ北方のブラカン州で計画が進むブラカン国際空港(新マニラ国際空港)の建設に伴い、周辺の経済特区や自由港を一体開発する事業に対して優遇措置を与える法案に拒否権を発動しました。近隣で既に別の経済特区が開発されているほか、国の財政が逼迫する中での税優遇措置について再考を促しました形になります。
一方で、複数の上院議員が、周辺での経済特区・自由港の一体開発に優遇措置を与える法案を修正し、上院に再提出する可能性を示しています。
また、同空港の建設・運営の事業主体であるフィリピンの財閥サンミゲル・コーポレーション(SMC)は、総事業費7,400億ペソ(約1兆8,100億円)のブラカン国際空港(新マニラ国際空港)開発について、継続する意向を表明しています。
マニラ北部の主要インフラと期待される同空港の動向については、しっかりウォッチしていきます。

今回は、フィリピンのインフレとそれに伴う金融政策の動向、クリーンエネルギー、教育、空港など人口ボーナスによって大きく成長力を有するフィリピンでの各種インフラ整備拡張の動き見て参りました。
引き続き、フィリピンの今と未来をお伝えして参ります。

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