フィリピンの経済成長率がASEANで最大に

ASEAN+3マクロ経済研究機構(AMRO:THE ASEAN+3 Macroeconomic Research Office)は、フィリピンが外部の逆風にもかかわらず、今年地域内で最も高い経済成長を達成するとの予測を維持しています。
AMROの最新の予測では、フィリピンの今年の成長率は6.2%で、これはASEAN+3諸国の中で最も高い成長率です。 フィリピンの経済はサービス産業主導であり、他のASEAN諸国が製造業主体なのとは異なる構造を持っているため、外部の逆風の影響を比較的受けていないとされています。
AMROの予測は、フィリピン政府の今年の6〜7%のGDP成長目標と一致しています。また、AMROはフィリピンの2024年の成長予測を6.5%としました。

一方、AMROはASEAN+3地域全体の今年の成長率を4.6%、2024年を4.5%と予想しています。
フィリピンを含むASEAN地域においては、シンガポールとベトナムの外部需要の弱さの影響を反映し、2023年のGDP成長予測を4.9%から4.5%に引き下げました。
また、AMROはフィリピンの今年のインフレ率予測を5.9%と据え置いています。フィリピンのヘッドラインインフレーションは昨年予想よりも急激に上昇しましたが、今年は年初の基準が高いため、全体のインフレ率は昨年とほぼ同じ水準になると予想されています。AMROは、内部のコスト圧力が高まるため、インフレ率が5%を超え続ける可能性があるとも指摘しています。
AMROは、フィリピンのインフレ率が来年に3.8%に緩和すると予想していますが、これは中央銀行の2.9%の予測を上回っています。また、ASEAN+3およびASEANのインフレ率は、それぞれ6.3%と7.8%にと見込まれています。

インフレ率は目標を上回っているものの、多くの中央銀行が緊縮サイクルを一時停止し、一部が金融政策を緩和し始めています。
2022年5月以来、フィリピン中央銀行は425ベーシスポイントの利上げを行い、キーレートを16年ぶりの高水準である6.25%に引き上げています。

フィリピンの5月の輸出が6か月ぶりに拡大し、輸入も鈍化したため、フィリピンの貿易赤字は3か月ぶりの最低水準まで縮小しました。
5月の貿易収支は44億ドルの赤字で、4月の修正済みの48.4億ドルの赤字および2022年5月の55.6億ドルの赤字よりも小さくなりました。
フィリピンは過去8年間、2015年5月の6495万ドルの貿易黒字以来、貿易赤字を抱えています。
5月の商品輸出は1.9%増の64.4億ドルとなり、5か月連続の減少を終え、2022年11月の+13.1%以来の最大の伸びを記録しました。
これは4月の修正済みの20.2%の減少を反転させたものですが、昨年の5月の+6.3%には及びませんでした。
一方、5月の輸入は8.8%減の108.4億ドルとなり、4月の修正済みの15%の減少よりも鈍化し、2022年5月の+30.2%を反転させました。5か月連続の減少となりました。
今年の上半期累計では、輸出は11.5%減の282.1億ドル、輸入は6.6%減の522億ドルとなりました。
これにより、1月から5月までの累計貿易赤字は239.9億ドルとなり、昨年同期の239.6億ドルの赤字とほぼ変わらない水準となりました。
貿易赤字の縮小は、フィリピンペソ弱圧力が弱まることを示唆しています。
そして、輸出の回復には電子部品の出荷量の急回復が貢献しています。
5月の輸出では、工業製品が全体の輸出収入の81%を占め、前年比で4.5%増の52億ドルとなりました。電子部品は製造輸出の約3/4を占め、5月の総輸出の半数以上を占めており、15.9%増の31.2億ドルの内、半分以上が半導体輸出によるものです。
5月の輸入では、設備投資財の輸入は5.9%減の31.6億ドル、消費財の輸入は24.7%増の21.3億ドルとなりました。
中国が5月のフィリピン製品の主要な輸出先であり、輸出額は10.7億ドルで総輸出額の16.6%を占めています。他の主要な輸出先は、総輸出額の15.7%または10.1億ドルを占めるアメリカ、14.4%または9.3億ドルを占める日本です。
同様に、中国は輸入の主要な供給源でもあり、5月の総輸入額の24%または26億ドルを占めています。これに続くのは、8.5%または9.17億ドルのシェアを持つインドネシアと、7.3%または7.95億ドルのシェアを持つ日本です。
フィリピン輸出事業者協会は、サプライチェーンの問題にもかかわらず、輸出の成長が続くと見ています。また、政府の1%の輸出成長目標は達成できるとの自信も示しました。

今回は、アセアン各国との比較の中での、直近のフィリピンのサービス業をベースとした経済成長水準と、一方で赤字傾向が継続している貿易収支の状況についてレポートしました。

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