フィリピン国営ファンドとフィリピンに流れ込むホットマネーの動向

フィリピンは、マハーリカ投資基金(MIF)の実施規則が公表されたことで、ソブリンウェルスファンドの運用に一歩近づきました。
MIFは、財政スペースを広げ、地方予算の負担を軽減し、開発援助(ODA)に依存せずに、インフラの主要プロジェクトに資金提供するための重要な資金調達メカニズムとして機能することを目標としています。
7月にマルコス大統領は、共和国法第11954号に署名し、フィリピンのソブリンウェルスファンドを創設しました。実施規則(IRR)は公式広報紙で公表され、9月12日に効力を持つ予定です。
財務省(BTr)、フィリピン開発銀行(DBP)、フィリピン国立銀行(LANDBANK)は、IRRがMIF法と一致していることを確認するために協力しました。
MICの資本金は5,000億ペソ(89億ドル)になり、初期の1,250億ペソの資金は、政府(500億ペソ)、LANDBANK(500億ペソ)、DBP(250億ペソ)から提供されます。
政府は、最初の2年間に、中央銀行(BSP)の配当金の100%、とカジノを管轄するフィリピンアミューズメント・アンド・ゲーミング公社の収益から、500億ペソの資本提供を行います。
さらには、政府所有の他のゲーミングオペレーターや規制機関のゲーミング運営の収益の10%、政府資産の民営化の収益、特許使用料などの収入源からも、5年間資金を供給します。
一方で、社会保障と公衆衛生保険サービスを提供する政府機関はMIFへの投資が禁止されています。
投資対象に関して、IRRによれば、MICは現金や他の取引可能な金融商品、国内外の国債、国内外の企業債、上場または非上場の株式、イスラム投資スキームなど、幅広い分野に投資する権限を持っています。
また、MICは債券、社債、証券も発行することができますが、これらはフィリピン政府によって保証されません。
公共道路ネットワーク、有料道路、鉄道、環境に優しいエネルギー、水資源、農工業ベンチャー、通信、先端技術などの重要な分野は、高い収益率と重要な社会経済的影響を提供すると財務大臣のディオクノ氏は述べました。
MICの取締役会は、財務長官を議長に、MICの社長兼CEOを副議長に、LANDBANKの社長兼CEO、DBPの社長兼CEO、プラス2人の常勤取締役、3人の独立した社外取締役で構成されます。取締役会のメンバーの資格要件はIRRで明示的に規定されています。
また、MICは予算管理省、国立経済開発庁、経済関係の各長官で構成される助言機関を有します。
助言機関は、フィリピンのPPPプロジェクトとMIFへの関与可能性について、日本の商社、金融機関、日本政府機関、多国籍企業など説明するセッションをJICA本部で開催さしまし。

2023年7月、フィリピン中央銀行(BSP)によれば、外国ポートフォリオ投資は2か月連続で純流入を記録しました。2022年の同じ月に記録された約1.0314億ドルの流出から、2023年7月には9.62億ドルの純流入に転じました。
7月の純流入は、6月の約28万ドルの純流入よりも大幅に高かったです。これらの外国投資は一般に「ホットマネー」と呼ばれ、資金が経済に容易に出入りすることから命名されています。
7月の総流入額は15.8億ドルで、6月の8.894億ドルから77.2%増加し、また前年同月の6.807億ドルの約2倍でした。
主要な5つの投資国は、イギリス、アメリカ、シンガポール、ルクセンブルク、ドイツで、ポートフォリオ投資流入の85.7%を占めました。
これらの投資のうち、およそ63.2%がフィリピン国債に投資され、残りの36.8%はフィリピン証券取引所に上場する銀行、不動産、食品、飲料、たばこ、財閥、運輸サービスなどの株式に投資されました。
一方、7月の総流出は前月から30.9%減少し、8.891億ドルから6.145億ドルになりました。前年同月からも、純流出は21.6%減少し、7.84億ドルから6.145億ドルになりました。
2023年7月のホットマネー流入の急増は、フィリピンでの投資家の楽観的なセンチメントに起因している可能性があります。
フィリピンのソブリンウェルスファンド・マハリカ投資基金(MIF)の制定やさまざまな改革に対する関心の増加に支えられている可能性があります。
2023年7月、マルコス大統領は、MIFを創設する法律に署名しました。
米国のインフレ率の低下+金利のピークアウトによって、投資マネーがフィリピンなどの新興市場に流れてきた可能性もあります。
年初から7か月間では、純流入は8,171万ドルで、前年同期の7億1,500万ドルに比べて大幅に低い結果でした。
Fedの利上げペースに対する懸念が、年内のホットマネー流入の方向に引き続き影響を与える可能性があります。
BSPは、今年のホットマネー純流入を25億ドルと予想しています。

今週は、世界の投資マネーの動きと、それをフィリピンに呼び込む要因の一つと見られているフィリピンのソブリンウェルスファンドの動向について、レポートしました。

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