再生可能エネルギー大手SPNECの資本戦略が明確になってきました。

SP New Energy Corporation(SPNEC)は、支配株主であるSolar Philippines Power Project Holdings, Inc.(SP)が、3月5日の支払期限終了後、残りの未払いSRO株式を購入することを約束したと発表しました。
SPが提供する分割払いプログラムで引き受けた748,024,190株のうち、578,768,585株はまだ一部しか支払われていません。

また、親会社SPとの間で予定されている株式交換に伴う所有者構成の見通しを明らかにしました。
SPNECはSPに対し、243.7億株の株式を発行し、その対価として、太陽光発電用資産を取得する予定です。
この結果、発行済み株式数は343.7億株となり、SPNECがフィリピン証券取引所(PSE)の最低流動性基準に達するには、さらに21.2億株の発行が必要となります。
SPNECは、発行済み株式数を増やすための第三者割当増資を計画していることを関係者に明らかにしました。

フィリピン著名実業家Ricky Razon氏のPrime Infraとの合弁事業(JV)に関する最新情報も発表されました。
SPNECは現在、Prime Infraとの間にTerra Solar、Solar Tanauan、Solar Tarlacの3つのJVを進めています。この3つの資産は、SPとSPNECの間で計画されている交換の一部であるため、パートナーは、所有権構造を合理化し、所有権の移転に先立ってデッドロック解決の仕組みを導入することにしました。
SPは、Prime Infraから15億ペソで、Solar Tarlacの完全所有権を取得します。同社はMeralcoと85MWの契約を締結し、140ヘクタール以上の土地を確保し、現在100MWが稼働、50MWが建設されています。
一方、Prime InfraはSPから10億ペソで、Meralcoと50MWacのPSAを締結し、140ヘクタール以上の土地を確保し、現在建設中のSolar Tanuanの完全所有権を取得する予定です。
Terra Solarは、Meralcoと850MWの契約を締結しており、2026年の第1四半期に引き渡し予定で、2023年内に着工する予定です。

これで種々の不確定要因が明確化してきました。
特に、SROが終了して以来、株価が1株当たり1.50ペソを下回って低迷していました。SPが未払い株を引き取ることを約束したことで、SPNECに関する懸念事項のうち、オーバーハングをようやく解消することができました。

もうひとつの重要な懸念は、SPとPrime Infraの合弁事業の将来についてでした。
今年に入ってから、両社が対立しているという噂が流れました。しかし今般、両社は合意に達し、同時にSPがSPNECに注入する予定の資産のリスト(一部かもしれません)も提供されました。

SPNECの株主にとって最後の暗雲は、株式交換によりSPに交付される243.7億株+さらに21.2億株が発行されることによる希薄化です。
SPNECは第三者割当増資を行うことを表明していますので、既存の少数株主には株式交換に参加する機会はありません。

ですから、少数の信頼は、戦略的投資家の存在によって強められるかもしれません。
再生可能エネルギー大手のACENが株式を追加取得するのか、それともPrime InfraがTerra SolarとSolar Tanauanを間接的に支配するために引き受けるのか、あるいはSPの韓国パートナーでSolar CalataganのKEPCOが参画するのかなどです。

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出典:ABキャピタル証券レポートから抜粋

この記事の監修

家村均
家村均

一般社団法人 フィリピン・アセットコンサルティング
エグゼクティブ・ディレクター
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慶応義塾大学経済学部卒業後、東急に入社し、海外事業部にて、米国・豪州・ニュージーランド・東南アジアなどで不動産開発や事業再構築業務に従事。
また、経営企画部門にて東急グループの流通・メデイア部門の子会社・関連会社の経営・財務管理を実施した。(約15年)
その後は、コンサルティングファーム(アクセンチュア)や投資ファンド(三菱UFJキャピタル)などで、企業や自治体の事業再構築、事業民営化等の支援や国内外のM&A案件のアドバイザリーを実施し、2018年10月より、GSRにて、日本他の投資家および企業、ファンドなどに対してフィリピン不動産への投資や事業進出のアドバイザリーを行っている。

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