フィリピン企業好決算が続々 食品メーカーは?

フィリピン企業の2022年第3四半期の好決算が続々と発表されています。
約80%の企業が予想を上回る業績となっています。
その中から、今週は、一般のフィリピンの人たちの生活に密着した製品を作っている食品メーカーの動向を見ていきます。

フィリピンの大手食品メーカーで、フィリピンの人たちに愛されるさまざまな食品ブランドを展開するのが、ユニバーサル・ロビーナ社(URC)です。
同社は、2022年第3四半期に過去最高の売上高を記録しました。
URCの2022年第3四半期の売上高は、ブランドコンシューマーフーズ(BCF)事業と農産品・コモディティ(AIC)事業の増収により、前年同期比32%増の368億PHPとなりました。
経済の再開が続く中、2022年9か月間の累計では、前年同期比26%増収の1,079億PHPとなり、昨年の資産売却に伴う一過性の利益を除いたコア純利益は、前年同期比9%増益の97.2億PHPを記録しました。
同社の売上は、業界のマーケットリーダーとして第4四半期も堅調に推移すると見られています。
一方で、商品原価率については、原材料価格の高止まりとペソ安ドル高によるインフレ圧力が圧迫要因となっていますが、経営陣は、積極的な値上げ、持続的な需要獲得、コスト削減プログラムによって原価率の増加を抑制することができるとしています。
第4四半期は、フィリピンの消費が1年間で一番盛り上がるホリデーシーズンになると共に、フィリピンでは、10月から学校の完全対面式授業が再開されていますので、売上の増加が加速すると見られています。

前述のURCと並ぶフィリピン大手食品メーカー・センチュリーパシフィックフード社(CNPF)の2022年第3四半期は、自社ブランド商品が15%増と好調であったため、売上高は前年同期比13%増収の158億7,000万PHPとなりました。
2022年9か月間の売上高は、自社ブランド事業の17%増により、前年同期比14%増の469億5,000万PHPとなりました。
マグロとココナッツのOEMによる輸出事業は、年初は高い輸送コストで利益を圧迫されましたが、これも回復し、2022年9月期には5%の増益を記録しました。
売上総利益は、2022年第3四半期に前年同期比12%増の36.9億PHP、2022年9か月間に同15%増の115.0億PHPとなりました。
同社もURC同様に、業界のマーケットリーダーとしてのブランド力と地位を維持し、増収を続けていくと見られています。
原材料価格の高止まりとペソ安の影響で原価上昇プレッシャーがあるなか、戦略的値上げとコスト最適化策により、粗利益率24.5%を維持しています。
経営陣は、今期必要な原材料の90%をすでに確保すると共に、1から2%程度の値上げを引き続き継続し、年間の値上げ幅は10%程度になるとしています。
CNPFは、売上の20-25%が輸出による米ドル建てである一方、短期および長期債務がペソ建てであるため、ペソ安米ドル高による恩恵も享受しています。
自社ブランド商品が堅調に推移し、OEMビジネスが回復を続けていることから、経営陣は引き続き、2022年通期での売上増加率を10%台半ば、ボトムラインの増益率を1桁台半ばとガイダンスしています。

食品調味料メーカーで、その他化学品も生産するD&N社(DNL)の第3四半期(3Q)の純利益は9.1億ペソで、前年同期比18%増益となりました。2022年9か月間累計の純利益は25億ペソで、前年同期比17%増益となり、過去最高益を達成しました。
景気回復と輸出の堅調な伸びが主な要因です。
同社は、2022年度のアナリストのコンセンサス予想利益の79%をすでに達成しており、2022年1年間の当期純利益は、過去最高を記録した2018年を上回る勢いです。
一方で、食品メーカーと同様に、コモディティー商品の粗利益率は依然として厳しい状況が続いており、2022年9月期の粗利率は前年同期比340bps減の13%となりました。
しかし、外食や旅行などのフィリピンのホスピタリティセクターの回復が鮮明になってきたと共に、輸出が好調を維持しているため、同社の利益率の高い自社ブランド商品の売上が堅調に伸びると見られています。

今週は、フィリピン企業の好調な2022年第3四半期決算が続々と発表される中、人々の生活に密着している食品分野の企業の業績やこれからのクリスマスシーズンの動向について見て参りました。
具体的に企業業績を見ることによって、リアルなフィリピン経済の今の動きをお伝えできればと考えています。

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