フィリピン経済成長率(+7.6%)力強い成長維持。一方でインフレ・金利高懸念

フィリピン経済は、2022年第3四半期に予想を上回るペースで拡大し、政府の年間目標を達成する軌道に乗りました。
一方で、急激なインフレと金利の上昇による逆風にも直面しています。
フィリピン統計局(PSA)の予備データによると、国内総生産(GDP)は7月から9月にかけて7.6%増加し、第2四半期の修正された7.5%と前年の7%を上回っています。
この最新のGDP成長率は、Business World紙のアナリスト調査の中央値6.1%を大きく上回りました。
今年の9か月間累計のGDP成長率は平均7.7%でした。
ここ数カ月の消費者物価の急騰と金利上昇下でも、フィリピン経済は力強い成長を示しています。
フィリピンの7.6%の GDP成長率は、第3四半期において、東南アジアで2番目に高く、ベトナムの13.7%に次ぐものでした。
政府の2022年年間GDP成長目標である6.5~7.5%を達成するためには、第4四半期の経済成長率が3.3~6.9%である必要があります。
通常、第4四半期は、クリスマスシーズンであり、個人消費がGDPに占める割合の多いフィリピンでは、 1年で最も高い成長率示す四半期です。
従って、2022年の政府目標を達成することは問題なさそうです。
一方で、世界経済の後退と最近の台風被害による高インフレの加速は、フィリピン経済において、リスク要因です。
インフレ率は第3四半期も引き続き上昇し、9月には6.9%に上昇しました。
これで、インフレ率は今年の フィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas (BSP))の2~4%の目標を6か月連続で上回った形です。
9か月間のインフレ率は平均5.1%でした。
インフレを抑えるために、中央銀行 は今年、ベンチマーク政策金利を225ベーシス ポイント (bps) 引き上げました。
第3四半期中には、3億2,000万ペソの農業被害をもたらした台風カーディングを含む多くの暴風雨にも見舞われ、これがインフレを加速しました。
需要面では、個人消費と投資が第3四半期の主な成長要因でした。
行動規制がほぼ無くなる中、いわゆるリベンジ消費が強い個人消費をもたらした。
この急速な成長は、レストラン、旅行、観光などの分野で顕著です。
個人消費は前年同期比で8%増加し、第2四半期の8.6%よりは減速しましたが、前年同期の7.1%よりは加速しました。前四半期比では、5.7%増加しました。
この経済パフォーマンスの要因として、学校が対面授業を再開したことが大きいとも言われています。
GDPの構成要素である資本形成つまり投資活動は、昨年の20.8%増から今第3四半期には21.7%増に跳ね上がりました。また、前四半期の21.1%よりもわずかに大きくなっています。
しかし、7月から9月にかけての政府支出の伸びは、0.8%に止まり、前年同期の13.8%増、前四半期の 11.1%増を大きく下回りました。
通常、大統領選挙のElection Yearは、政府支出が大きく伸びるのですが、今年は、政府が上半期に支出を前倒しした可能性があります。
商品とサービスの輸出は、前年同期の9.1%増、第2四半期の4.4%増 に対して対前年13.1%の大幅増となりました。
主な要因は、BPOなどのサービス輸出が32.5%増、建設が11.8%増、耐久設備が11.6%増でした。

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出典:https://www.bworldonline.com/top-stories/2022/11/11/486494/q3-gdp-surprises-with-7-6-growth/

この記事の監修

家村均
家村均

一般社団法人 フィリピン・アセットコンサルティング
エグゼクティブ・ディレクター
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慶応義塾大学経済学部卒業後、東急に入社し、海外事業部にて、米国・豪州・ニュージーランド・東南アジアなどで不動産開発や事業再構築業務に従事。
また、経営企画部門にて東急グループの流通・メデイア部門の子会社・関連会社の経営・財務管理を実施した。(約15年)
その後は、コンサルティングファーム(アクセンチュア)や投資ファンド(三菱UFJキャピタル)などで、企業や自治体の事業再構築、事業民営化等の支援や国内外のM&A案件のアドバイザリーを実施し、2018年10月より、GSRにて、日本他の投資家および企業、ファンドなどに対してフィリピン不動産への投資や事業進出のアドバイザリーを行っている。

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