急速な経済発展を遂げているフィリピンで、新しくビジネスを始めたいと考える方も多いでしょう。
フィリピンは日本に友好的な国であり、英語も通じるためビジネス進出先として人気があります。
しかし、イメージだけでフィリピンを選ぶと、ビジネスをスタートさせてから後悔する可能性があるため、事前準備が重要です。
そこで本記事では、フィリピンビジネスのメリットや注意点を詳しく解説します。
フィリピンビジネスが注目されている理由やビジネス事例も紹介するので、参考にしてください。
フィリピンビジネスが注目されている理由
フィリピンビジネスが注目されている主な理由は、以下の通りです。
- 経済成長が急速に進んでいる
- 外資優遇制度が充実している
- インフラ整備が進んでいる
2022年のフィリピンの実質GDP成長率は前年比7.6%で、1976年以来となる高成長を遂げています。
フィリピンには200以上の経済特区があり、関税の免除や最長8年間の法人税免除など充実した外資優遇制度が設けられているのが人気の理由です。
現在、フィリピンでは約21兆円超の事業費を投入してインフラ整備を進めており、今後は交通やアクセスが良好になると見込まれています。
なおフィリピンビジネスを検討している方は、弊社のオンライン個別相談も可能ですので、お気軽にご連絡ください。
引用元:日本貿易振興機構|令和5年2022年のGDP成長率は7.6%、1976年以降
引用元:日本貿易振興機構|2016年外資奨励・規制とサービス業進出における規制について:フィリピン
フィリピンビジネスのメリット
フィリピンビジネスのメリットは、以下の3つです。
- 日本に友好的なため起業しやすい
- 英語が通じるためコストを抑えられる
- 人口が右肩上がり
1つでもメリットだと感じたら、フィリピンビジネスが向いているでしょう。
メリット①:日本に友好的なため起業しやすい
ODA(政府開発援助)やアニメ・ゲームなどのコンテンツの影響から、フィリピンは日本に友好的な感情を持っており、起業しやすい環境です。
日本によるフィリピン援助の歴史は古く、1974年からインフラ整備をはじめとして産業開発や人材育成など幅広くサポートしてきた背景があります。
アニメやゲームなどのコンテンツはフィリピンにおいても人気が高く、日本に対して好意的なイメージが定着している要因の1つです。
また、日本はフィリピンから20万人以上と数多くの労働者を受け入れており、働く場所を提供していることで良い印象を与えています。
メリット②:英語が通じるためコストを抑えられる
フィリピンの公用語はフィリピノ語(タガログ語)と英語で、英語ができれば通訳を必要としないためコストを抑えられます。
フィリピン人は小学校から大学まで徹底した英語教育を受けており、国民の90%程度が英語を話せる環境です。
また、80以上の言語があるフィリピンにおいて国内で意志疎通を図るのに、英語は欠かせない言語だといえます。
交渉相手と英語でスピーディーにやり取りができ、ビジネスを進める上で時間のロスがないのも嬉しいポイントです。
メリット③:人口が右肩上がり
フィリピンは人口増加が右肩上がりなので、今後も経済成長を期待できるのがメリットです。
フィリピンの人口推移は、下表の通りとなります。
年 | 人口 | 増減 | |||
2020年 | 約1億903万人 | +805万人 | |||
2015年 | 約1億98万人 | +864万人 | |||
2010年 | 約9,234万人 | ー |
5年スパンで確認すると、およそ800万人ずつ増加しており、好調に人口が増えているのが特徴です。
引用元:日本貿易振興機構| 令和3年2020年の人口は1億903万人、5年間で800万人超増加
引用元:農林水産省|フィリピン共和国
フィリピンビジネスの注意点
フィリピンビジネスの注意点は、以下の3つです。
- マネジメントが難しい
- ビザや申請が複雑
- インフラが脆弱
注意点を事前に踏まえて検討・対策しておけば、スムーズにビジネス展開できるでしょう。
注意点①:マネジメントが難しい
フィリピンでは日本流の人材・労務管理が通用しない面があるため、配慮していないとトラブルが発生する可能性があります。
例えば、以下の点に注意することが重要です。
- 労働者寄りの法律となっている
- 従業員を解雇するのが難しい
- 丁寧な言葉遣いが求められる
フィリピンの労働法は労働者寄りであり、従業員の解雇などは難しいことから、採用や人材育成は慎重に実施する必要があります。
また、フィリピン人は言葉に対して敏感な国民性を持っており、命令口調や荒い口調は避けるのが無難です。
フィリピンにおいては人事・労務トラブルは珍しくなく、ビジネスを始める際には労務管理のプロを雇いましょう。
注意点②:ビザや申請が複雑
フィリピンでの就労に関するビザや申請は複雑なので、事前の準備が重要なポイントとなります。
フィリピンの就労ビザは、主に以下の3種類です。
ビザの種類 | 対象者 | ||
一般就労ビザ | フィリピン国内で就労する外国人従業員 | ||
経済特区(PEZA)ビザ | 経済特区に登録されている企業の外国人従業員 | ||
貿易担当者及び投資家用ビザ | 貿易企業に就労する外国人従業員やフィリピン国内で投資を目的として入国する者 |
例えば、一般就労ビザでは取得するのに2~3ヶ月は必要となるため、早めに準備を進める必要があります。
また、一般就労ビザや貿易担当者及び投資家用ビザの取得には、書類申請だけではなく面接が求められ、手間がかかるのがネックです。
フィリピンを含めて、東南アジアのビザについて気になる方は、以下の記事をご覧ください。
【関連記事】東南アジアで永住権・長期滞在ビザを取得できる5つの国を紹介
注意点③:インフラが脆弱
フィリピンでは急ピッチでインフラ整備が進んでいるものの、まだまだ脆弱な部分があるので注意してください。
通勤に往復4時間かかる従業員や、雨季には早めに退勤したい従業員がいるなどは珍しくありません。
また、電力の供給が不安定になるケースもあり、ビジネスでのトラブルを招く可能性があります。
現在ではフィリピン初の地下鉄工事が進行するなど、インフラ整備が進展しているため、改善を期待できるでしょう。
フィリピンビジネスの事例
フィリピンビジネスの事例として、以下の3つを紹介します。
- IT開発
- 日本語教育サービス
- 観光サポート
どんなビジネスチャンスがあるのか気になる方は、ぜひ参考にしてください。
事例①: IT開発
経済成長が著しいフィリピンでは、IT開発の需要も高まっており、マニラやセブを中心として開発系IT企業の進出が進んでいます。
特にフィリピンは英語を話せる人材が多い上に人件費が安く済むため、オフショア開発の受注が盛んです。
オフショア開発とは、システム開発を人件費の安い国の企業に外注することを指します。
日本はもちろん世界的にIT人材の不足は深刻化しており、フィリピンにおけるIT開発の需要は今後も期待できるでしょう。
事例②:日本語教育サービス
外国人技能実習制度を利用して日本の企業に就労するフィリピン人も多く、日本語教育を実施するサービスの需要が高まっています。
フィリピン人の外国人技能実習生の推移は、下表の通りで増加傾向にあります。
年 | フィリピン人の外国人技能実習生の数 | ||
2022年 | 32,206人 | ||
2020年 | 34,590人 | ||
2018年 | 29,875人 | ||
2016年 | 20,846人 |
来日するまでに一定の日本語を習得している必要があり、2〜6ヶ月程度は日本語を学ぶのが一般的です。
日本では労働力不足が深刻化しているので、外国人技能実習生のニーズは今後も見込まれます。
引用元: 厚生労働省|「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和4年10月末現在)
引用元:厚生労働省|「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和2年10月末現在)
引用元:厚生労働省|「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(平成30年10月末現在)
引用元:厚生労働省|「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(平成28年10月末現在)
事例③:観光サポート
フィリピンでは、日本人による観光客向けのサポートをするビジネスもおすすめです。
日本人のフィリピンへの観光や留学は、ビザなしで30日以内の滞在が可能な上、大型の商業施設も増えたことで、フィリピンに行きたいという日本人は年々増えています。
そのため、日本人向けに観光サポートなどのサービスも考えられるでしょう。
具体的には以下のようなサービスが可能です。
- 観光ガイド
- レストランの予約代行
- 観光先や宿泊予約の代行
よりフィリピンビジネスについて詳しく知りたい方は、オンライン個別相談も可能です。お気軽にご連絡ください。
フィリピンビジネスに失敗しないためのおすすめセミナー
フィリピンは経済成長が急速に進んでおり、外資優遇制度が充実していることからビジネス進出先として注目を集めています。
通訳コストを抑えられるメリットがある一方で、人事・労務のマネジメントが難しいなどのデメリットもあるので注意が必要です。
フィリピンビジネスに失敗しないためには、セミナーで情報収集や勉強することが重要だといえます。
またフィリピンの経済状況や将来性を知りたい方は、【保存版】フィリピンGDPと各国日比較〜GDPでフィリピンの経済成長力をチェック〜の動画もご覧ください。
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この記事の監修
一般社団法人 フィリピン・アセットコンサルティング
エグゼクティブ・ディレクター
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慶応義塾大学経済学部卒業後、東急に入社し、海外事業部にて、米国・豪州・ニュージーランド・東南アジアなどで不動産開発や事業再構築業務に従事。
また、経営企画部門にて東急グループの流通・メデイア部門の子会社・関連会社の経営・財務管理を実施した。(約15年)
その後は、コンサルティングファーム(アクセンチュア)や投資ファンド(三菱UFJキャピタル)などで、企業や自治体の事業再構築、事業民営化等の支援や国内外のM&A案件のアドバイザリーを実施し、2018年10月より、GSRにて、日本他の投資家および企業、ファンドなどに対してフィリピン不動産への投資や事業進出のアドバイザリーを行っている。