フィリピン永住権「SRRV」とは、50歳以上の外国人を対象とした特別居住退職者ビザです。
フィリピン永住権のなかでも比較的長く発行されており、日本人にとって最も馴染みがあるリタイアメントビザといえます。
しかし、SRRV以外にもフィリピンで取得可能な永住権は複数存在します。
なかには「フィリピンで夢の海外移住生活を送りたいけど、自分にとって最適なビザが分からない」と悩んでいる方も多いでしょう。
この記事では、フィリピン永住権SRRVの概要をはじめ、取得費用や必要書類、取得手順などを詳しく解説します。
フィリピンで取得できる他の永住権との違いも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
フィリピン永住権「SRRV」とは
SRRVとは、フィリピンでのリタイアメント・ライフを希望する50歳以上の外国人を対象とした特別永住権制度です。
正式名称である「特別居住退職者ビザ(Special Resident RetireesVisa)」の頭文字をとって「SRRV」と呼ばれています。
そのほか、フィリピン退職者庁(PRA)が受付・運営していることから「PRA永住権」や「リタイアメントビザ(退職者用ビザ)」などさまざまな呼び名が存在します。
SRRVを取得するには、所定の金額をフィリピン国内の指定銀行に預けなければなりません。
基本的に預託金は引き出して使用できませんが、ビザ取消時には全額が返還されます。
SRRVクラッシックの場合は、フィリピンの不動産購入に転用できる可能性もあります。
また、SRRVはAEP(労働許可証)を取得することで現地での就労も可能です。
投資に関しては、特に規定はありません。
フィリピンへの老後移住を検討している方にとって、利便性の高い選択肢となるでしょう。
特別永住権と永住権の違いについて詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひ参考にしてください。
【関連記事】特別永住権とは?永住権との違いや取得条件、取り消しになる場合を解説
SRRVの申請資格
SRRVを申請するには、以下の要件を満たす必要があります。
- 50歳以上の外国人であること
- 精神病や伝染病にかかっていないこと
- 犯罪を犯していないこと など
以前は35歳以上が対象でしたが、2021年5月17日から年齢要件が50歳以上に変更されました。
他の条件は変更されておらず、引き続き比較的緩やかな規制が適用されています。
ただし、フィリピンのビザ規定は予告なしに変更されるケースも少なくありません。
また、全ての手続きが英語で行われるため、個人での対応は難しく、書類不備などで数ヶ月遅れる可能性もあります。
そのため、代行会社のサポートを利用するのが一般的です。
引用元:フィリピン退職庁|Special Resident Retiree’s Visa
SRRVのおもな種類3つ
SRRVは、大きく以下の3種類に分けられます。
- SRRV Smile(スマイル)
- SRRV Classic(クラシック)
- SRRV Human Touch(ヒューマンタッチ)
それぞれの違いを解説するので、SRRVを検討する際の参考にしてください。
種類①:SRRV Smile(スマイル)
SRRV Smileの特徴は、下表のとおりです。
要件 | なし |
預託金額 | 2万USD |
預託金の転用 | 不可 |
スマイルプランは、最も簡単な条件でフィリピンビザを取得できるのが特徴です。
種類②:SRRV Classic(クラシック)
SRRV Classicの特徴は、下表のとおりです。
要件 | なし |
預託金 |
・2万USD(年金受給者を除く) ・年金受給者:1万USD (単身:月800USD以上・扶養あり:月1,000USD以上) |
預託金の転用 | 投資運用可能 |
スマイルプランとのおもな違いは、投資条件です。
クラシックプランでは、コンドミニアムの購入や土地の長期リースに投資できます。
種類③:SRRV Human Touch(ヒューマンタッチ)
SRRV Human Touchの特徴は、下表のとおりです。
要件 |
・医療支援の必要性を証明する診断書 ・年金受給額が月1,500USD以上ある証明書 ・フィリピンで認められている保険契約証 |
預託金額 | 1万USD |
預託金の転用 | 不可 |
預託金額が他のSRRVよりも低くされているため、障害年金受給者や看護を要する方におすすめです。
フィリピン永住権「SRRV」の取得にかかる費用
フィリピンの永住権「SRRV」の取得に必要な費用は、下表のとおりです。
内訳 | 金額※ |
申請料 |
・本人:1,400USD ・配偶者:300USD |
年会費 |
・360USD(扶養家族2人まで) ・3人目以降1人あたり:100USD |
預託金 |
・SRRV Smile:2万USD ・SRRV Classic:2万USD ・SRRV Human Touch:1万USD |
※ビザ取得の代行会社を活用する場合、別途サポート費用が必要です。
SRRV取得には、預託金の関係で一時的な大きな出費が必要になりますが、年間維持費は比較的低額に抑えられています。
また、SRRV Classicでは、預託金を退職庁の認可を受けた不動産購入に充てられるため、賢く活用できるのがメリットです。
フィリピン永住権「SRRV」の申請に必要な書類
フィリピン永住権「SRRV」の申請に必要な書類は、以下のとおりです。
- SRRV申請書
- 有効な入国ビザがあるパスポート原本
- 健康診断書
- 無犯罪証明書ならびにNBIクリアランス
- 預託金証明書
- 証明写真(5×5cm)12枚
- 戸籍謄本 (配偶者や子ども同伴の場合のみ)
- 年金証書 (年金受給者の場合)
- 健康保険約款(SRRV HUMAN TOUCHの場合)
なお、現地で労働をする場合は、別途「労働許可証」を取得する必要があります。
フィリピン永住権「SRRV」の取得手順
フィリピン永住権「SRRV」の取得手順は、以下の3ステップです。
- 指定銀行に預託金を送金する
- 必要書類を揃える
- SRRV申請をする
申請が完了してからビザが発行されるまでの期間は約1か月です。
期間中、パスポートは退職庁に預けるため、発行されるまでフィリピンを出国することは基本的にできません。
申請手続きは十分に計画し、滞在中の必要な準備を整えておくことが重要です。
なお、弊社GSR株式会社では2016年からフィリピン永住権取得のサポートを行っています。
取得滞在期間を短くできる可能性がありますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
【関連記事】フィリピン永住権の取得方法と必要となる費用 免税についても相談を
SRRVと他のフィリピン永住権の違い
ここからは、SRRVと他のフィリピン永住権のおもな違いを解説します。
フィリピンの永住権には、SRRV以外にもいくつかの種類があり、それぞれに独自の特徴と条件があります。
申請を考える際には、各ビザの特徴や条件を十分に比較検討したうえで、自分にとって最適なものを選定しましょう。
違い①:対象年齢が高い
SRRVは50歳以上の外国人を対象としており、他の永住権よりも年齢要件が高く設定されています。
なぜなら、経済的に余裕のある高齢層を優先的に受け入れ、フィリピンの経済発展と外貨確保に寄与することを目的としているからです。
そのため、若年層の方がフィリピンへの移住を希望する場合は、投資家ビザとして知られるSIRVやQuota Visaが適しているでしょう。
違い②:現地で働く場合は労働許可証の申請が必要
SRRVは永住権ではなく長期滞在ビザであるため、現地で働くには労働許可証の申請が必要です。
労働許可書を取得するには、雇用主となるフィリピン国内企業を通して申請する必要があります。
個人での申請は受け付けられないので、注意しましょう。
なお、手続きには時間がかかるため、早めに準備を始めることをおすすめします。
違い③:特典やメリットが豊富
SRRVは、他の永住権と比較して、以下のように特典やメリットが豊富です。
- 無期限の永住権(更新は必須)
- リーズナブルな取得費用
- 預託金の柔軟な使用
- 扶養家族の帯同
- 就労・就学が可能 など
費用面や優遇措置により、フィリピンでのリタイアメントライフをより豊かにできるでしょう。
なお、以下のYouTubeでは、フィリピンで取得できる各永住権について詳しく解説しています。
フィリピンで永住権の取得を検討している方は、ぜひご確認ください。
フィリピン永住権「SRRV」の取得をご検討の方へ
フィリピンの永住権「SRRV」は、リタイアメント・ライフを希望する50歳以上の外国人を対象としたビザです。
他国のビザと比べて取得が手軽であり、申請費用がリーズナブルなのが魅力です。
また、SRRVは、常にフィリピンに滞在する必要がありません。
日本を拠点に活動を続けながら、好きな時にフィリピンの文化を楽しめるでしょう。
なお、フィリピンは気候や生活費、永住権取得の容易さなどから、海外移住先として非常に魅力的な国です。
日本では味わえないのびのびとした老後生活を楽しみたい方は、フィリピン永住権「SRRV」の取得をご検討ください。
弊社GSR株式会社では「フィリピン永住権セミナー」を定期的に開催中です。
フィリピン移住に興味がある方は、ぜひ参加をご検討ください。
また、「オンライン個別相談」も受け付けておりますので、永住権の取得手順や費用など詳細情報を知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。
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この記事の監修

一般社団法人 フィリピン・アセットコンサルティング
エグゼクティブ・ディレクター
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慶応義塾大学経済学部卒業後、東急に入社し、海外事業部にて、米国・豪州・ニュージーランド・東南アジアなどで不動産開発や事業再構築業務に従事。
また、経営企画部門にて東急グループの流通・メデイア部門の子会社・関連会社の経営・財務管理を実施した。(約15年)
その後は、コンサルティングファーム(アクセンチュア)や投資ファンド(三菱UFJキャピタル)などで、企業や自治体の事業再構築、事業民営化等の支援や国内外のM&A案件のアドバイザリーを実施し、2018年10月より、GSRにて、日本他の投資家および企業、ファンドなどに対してフィリピン不動産への投資や事業進出のアドバイザリーを行っている。