定年後に海外で新たな人生をスタートさせたいと考えている方は、年々増加している傾向にあります。
移住を検討する理由は人それぞれですが、住み慣れた日本を離れて海外に移住することに不安を感じる人も多いのではないでしょうか。
安心して納得のいく海外移住を実現するには、さまざまな準備が欠かせません。
準備をしっかり行うことで、後悔のない新しい生活をスタートできるでしょう。
この記事では、老後の海外移住で後悔しないために欠かせない準備5選と移住にかかる費用相場を詳しく解説します。
老後の海外移住は現実的?実態を解説
ここからは、老後の海外移住の実態について詳しく解説します。
老後の海外移住は、個人の状況や希望によって異なるため、一概に現実的かどうかの判断はできません。
ただし、海外移住のメリットやデメリットを理解し、慎重な計画と準備を行うことで、自分にとって現実的な選択であるか見極められるでしょう。
老後の海外移住に興味がある方は多い
老後の海外移住に関心を持つ人は多く、永住者と長期滞在者の数は増加傾向にあります。
平成29年10月1日時点で、日本国外に在住する日本人は約135万人に達し、昭和43年以降で過去最多となりました。
生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」によれば、約8割の人が老後の生活に不安を感じており、その不安を解消し理想の生活を実現するために、約3人に1人が海外移住に興味を示しています。
興味を持つ人の中で、実際に検討を始めている人は35%、全体では10%に上ります。
特に定年後は、仕事や子育てから解放され、家族とゆっくり過ごせるため、「日本を離れてゆったりとした生活を送りたい」という考えが多くの人に支持されているようです。
引用元:
・海外在留邦人数調査統計(2017年)
・定年後の海外移住に関する実態調査。興味がある人は3人に1人、検討を始めている人も10人に1人に。定年後は海外移住というスタイルが本格化する予兆。 – 相談サポート通信|アスクプロ株式会社
失敗例や障壁があるのも事実
成功した事例が注目されがちですが、海外移住には以下のような課題があるのも事実です。
- 言語や文化の違い
- 治安へ不安
- 物価上昇による生活費の高騰
現在、日本人の海外生活に最も影響を与えているのは、円安の進行です。
日本国内であれば、公的年金は物価に連動して増加し、為替変動が生活費に直接影響することはありません。
しかし、ドル円の為替レートは平成7年に80円を下回った後、令和6年には160円を超えるまで円安が進行しました。
公的年金は円で支給されるため、円安が進むとドル換算した年金収入が大幅に減少します。
例えば、23万円の年金を受け取っていた場合、1ドル=80円のときは約2,875ドルですが、1ドル=160円になると約1,437ドルとなり、年金収入が約半分に減ってしまいます。
投資による収益や他の収入源を確保するなどの対策を講じることで、リスクへの対応が可能になるでしょう。
なお、ここで紹介した失敗例や障壁から、海外での移住生活が自分に合っているか不安を感じた方も多いのではないでしょうか。
そのような不安を解消するために、弊社GSR株式会社では、海外移住に関する「オンライン個別相談」を受け付けております。
老後に暮らしやすい国として注目を集めるフィリピンへ移住するための具体的な準備や、手順などを詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。
【関連記事】海外移住はやめとけと言われる5つの理由その対策について解説
老後の海外移住で後悔しないための準備5選
老後の海外移住で後悔しないための準備は、以下の5つです。
- 下見として短期滞在する
- ビザを取得する
- 年金や医療保険などの手続きを済ませる
- 自宅や財産を整理する
- 英語や公用語を身につける
海外移住をする際は、基本的に現地へ移住する前に準備を整える必要があります。
移住後の後悔を避けるためにも、紹介する5つのポイントを押さえたうえで事前準備を進めましょう。
準備①:下見として短期滞在する
海外移住で後悔しないためにも、まずは短期滞在を通じて将来の移住先に適しているか、以下の観点から判断しましょう。
- 気候
- 文化
- 生活スタイル
- 物価水準 など
下見なしでの移住決定は、「予想と違う」「暮らしにくい」といったギャップを生じる可能性があります。
数週間から数か月間、現地のアパートやホテルに滞在することで、移住後の生活イメージを肌で感じ、「この国で暮らしていける」という確信を持てるでしょう。
夫婦での移住を考えている場合は、一緒にロングステイして、お互いが納得できる地域を選ぶことが大切です。
下見にはお金と時間がかかりますが、できる限り実地を知るための時間を確保し、将来の暮らしを見据えた準備を進めることをおすすめします。
準備②:ビザを取得する
海外移住を考える際に重要なのは、取得できるビザの種類や条件を事前に把握することです。
例えば、リタイアメントビザを取得する場合、貯蓄額の証明を求める国も少なくありません。
老後の資金計画をしっかりと立てておかなければ、ビザの取得が難しくなります。
さらに、移住先での就労を考えている場合は、就労ビザの取得が必要です。
移住前に詳細を確認し、必要な手続きを事前に進めておきましょう。
なお、GSRでは老後に海外移住を考えている方に向けて、複数のビザ取得を支援しています。フィリピンで夢を実現したい方は、ぜひご確認ください。
【関連記事】東南アジアで永住権・長期滞在ビザを取得できる5つの国を紹介
準備③:年金や医療保険などの手続きを済ませる
海外への移住が決まったら、年金や医療保険の手続きを計画的に済ませることが大切です。
海外へ転出する際は、居住していた市区町村に海外転出届を提出し、年金の任意加入手続きを済ませる必要があります。
受給開始年齢になったら年金の受給申請を忘れずに行いましょう。
また、海外では、日本の健康保険証は利用できません。
移住先の医療制度や保険についても確認し、日本で加入している保険があれば海外移住後も適用されるかを保険会社に問い合わせます。
移住前後に保険が適用されない「無保険」の期間がないようにしましょう。
準備④:自宅や財産を整理する
セカンドライフを海外で過ごすと決めたら、日本にある自宅や財産の整理を始める必要があります。
自宅を売却する場合は、不動産会社との契約や手続きを進めましょう。
また、国ごとに遺産相続のルールが異なるため、遺言書を事前に作成しておくことが重要です。
例えば、フィリピンの相続ルールでは、被相続人が日本人の場合、相続人の範囲や相続分について日本法に基づいて決定されます。
一方、マレーシアでは、不動産の相続に関して最後の住所地にある法律が適用されるため、手続きが複雑になる可能性があります。
事前に必要な準備をしておくことで、セカンドライフの安心感が増し、家族の負担も軽減されるでしょう。
準備⑤:英語や公用語を身につける
海外移住後の生活をスムーズに送るために、英語や公用語を身につけておくことも重要です。
例えば、英語が必要な国では、基本的な会話ができれば日常生活を送るのに支障はありません。
しかし、世界には約6,900種類もの言語があり、英語はその中の1つに過ぎないため、移住先によっては通じない場合もあります。
お互いにより深く親しみを感じ、心を通わせられるコミュニケーションを行うためには、移住先の言語を学習しておくことも大切です。
現代では、スマートフォンのアプリを使って自宅で手軽に語学学習ができます。
移住先の国の言語状況を把握し、英語や公用語を身につけることで、移住先での生活へスムーズに適応できるでしょう。
老後の海外移住にかかる費用相場
海外移住を考える際には、移住先での以下の費用を考慮する必要があります。
- 生活費
- 移動費
- 医療費
- 住宅購入費
- ビザ取得費 など
下表は、海外移住にかかる移住先別の費用相場です。
移住費用相場(夫婦二人) | 生活費相場(一人当たり) | |
先進国 | 100~150万円 | 月20~30万円 |
東南アジアなど | 50~80万円 | 月15万円 |
物価の安い国であっても、経済成長に伴い物価が上昇するケースも少なくありません。
生活費だけでなく、予想以上の出費が発生する可能性も視野に入れ、貯蓄計画を早めに立てることが重要です。
【関連記事】フィリピン移住後の生活費はいくら?1ヶ月あたりの内訳を徹底解説
老後の海外移住先として注目の国3選
老後の海外移住先として注目されている国は、以下の3つです。
- フィリピン
- マレーシア
- ポルトガル
それぞれの国の特徴と移住するメリットを解説するので、ぜひ参考にしてください。
注目の国①:フィリピン
フィリピンは日本からのアクセスが良く、時差が1時間と少ないため、頻繁に日本に帰国する方にとって魅力的な移住先です。
また、物価は日本の3分の1から5分の1程度と安く、特に住居費は低い傾向があります。
例えば、中心地を外せば、日本では考えられないほど贅沢な設備を備えたコンドミニアムに、非常に低い賃料で住むことも可能です。
生活費全般を抑えながら快適な暮らしを楽しめるため、リタイアメント世帯にとっては経済的な安心感があるでしょう。
以下のYouTube動画では、フィリピン永住権の取得方法について詳しく解説しています。
手軽に取得できるAPECO特別永住権ビザに興味がある方は、ぜひご確認ください。
注目の国②:マレーシア
マレーシアは東南アジアの中心に位置し、多様な民族と文化が共存する国です。
公用語はマレー語ですが、英語も広く通じるため、コミュニケーションに支障を感じることはありません。
多様性を受け入れる風土が根付いており、海外からの移住者にとって快適な生活環境を提供するため、日本人にも人気があります。
また、マレーシアの物価は日本の約半分から3分の1といわれており、現地での生活費を安く抑えられるでしょう。
なお、マレーシアでは長期滞在ビザの条件が令和6年6月より以下のように大幅に変更されています。
- マレーシア銀行への定期預金額:約2,400万円~1億6,000万円
- 金融資産:なし
以前のような年齢別の区分ではなく、3つのビザオプションから条件を選択できるようになりました。
金融資産の証明が不要になりましたが、定期預金の準備が必要である点に留意する必要があります。
注目の国③:ポルトガル
ポルトガルは、ヨーロッパの西端に位置し、人口約1,000万人、国土面積は日本の約4分の1という小さな国です。
近年、ヨーロッパではテロの脅威が心配されますが、ポルトガルは世界平和度指数ランキングで7位(日本は17位)と安全であり、ヨーロッパへの移住を考える方にとって魅力的な選択肢です。
また、毎年ポルトガルには人口の約3倍の観光客が訪れることからも経済的な成長を見込める国といえるでしょう。
なお、物価は上昇傾向にありますが、それでもEU平均の75%程度に留まっています。
生活費が高いイメージもあるヨーロッパへの移住先として、現実的な選択肢といえるでしょう。
老後の海外移住先は「フィリピン」がおすすめ
老後の海外移住先は、美しい自然環境、温暖な気候、低コストでの生活が魅力の「フィリピン」がおすすめです。
また、親日的な文化や英語が広く通じることも移住者にとって大きなメリットでしょう。
ただし、海外移住には準備しておくべき内容があります。
きちんと準備を進めることで、これまでの生活とは異なる文化や環境で、充実した第二の人生を楽しめるでしょう。
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この記事の監修

一般社団法人 フィリピン・アセットコンサルティング
エグゼクティブ・ディレクター
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慶応義塾大学経済学部卒業後、東急に入社し、海外事業部にて、米国・豪州・ニュージーランド・東南アジアなどで不動産開発や事業再構築業務に従事。
また、経営企画部門にて東急グループの流通・メデイア部門の子会社・関連会社の経営・財務管理を実施した。(約15年)
その後は、コンサルティングファーム(アクセンチュア)や投資ファンド(三菱UFJキャピタル)などで、企業や自治体の事業再構築、事業民営化等の支援や国内外のM&A案件のアドバイザリーを実施し、2018年10月より、GSRにて、日本他の投資家および企業、ファンドなどに対してフィリピン不動産への投資や事業進出のアドバイザリーを行っている。